農業|認定農業者制度による共同申請

認定農業者制度では、家族経営協定を締結した夫婦や親子などが共同で、農業経営改善計画の認定申請(共同申請)を行うことができます。

家族経営協定とは、家族農業経営にたずさわる各世帯員が、意欲とやり甲斐を持って経営に参画できる魅力的な農業経営を目指し、経営方針や役割分担、家族みんなが働きやすい就業環境などについて、家族間の十分な話し合いに基づき取り決め、文書化するものです。

取り決めた内容を互いに協力して実行し、必要に応じて内容の見直しを行なっていきます。

家族経営協定の内容

家族経営協定の取り決めの内容や書式に決まりはありませんが、主に、次のような内容が記載されています。

  • 目標
  • 経営計画・経営方針
  • 経営面の役割分担
  • 労働時間・休日
  • 労働報酬(日給・月給)
  • 収益の分配(日給・月給以外の利益の配分)
  • 福利厚生
  • 経営移譲(承継を含む)
  • 資産の相続

    など

協定書で締結された内容が実行されているかどうか定期的に見直し、実行できていないことや新たな課題が生じたときは、改めて家族で話し合います。

家族経営協定を結ぶタイミングとしては、夫婦や親子で農業経営を開始するとき、後継者が就農するとき、後継者が結婚するとき、農業経営を移譲するときなど、ライフステージに合わせて内容を見直すことが大切です。

認定農業者制度による共同申請をおこなうためには、次の①~③の条件を満たすことが必要です。

  • 認定申請者が、全て同一の世帯に属する者である、またはかつて同一の世帯に属していた者(その者の配偶者を含む)であること
  • 家族経営協定等の取り決めが締結されており、その中で、農業経営から生ずる収益が認定申請者の全てに帰属すること及び農業経営に関する基本的事項について認定申請者の全ての合意により決定することが明確化されていること
  • 家族経営協定等の取り決めが遵守されていること。

共同申請のメリットとして、次のようなものが挙げられます。

  • 共同経営者としての地位・責任が明確化される
  • それぞれの役割分担に基づく経営改善への取組の促進が期待できる
  • 親子で計画づくりをする場合には将来の経営継承の円滑化にもつながる

また、家族経営協定に家族それぞれの経営の参画や収益の分配などの事項を盛り込み、締結・実行している場合には、主に以下の制度を利用することができます。

認定農業者の共同申請

実質的に共同経営を行っている場合、収益の配分と経営方針決定への参画が明確にされている家族経営協定が結ばれていること等を要件に、夫婦等による認定農業者の共同申請が認められます。

認定農業者になると、経営主でなくとも資金の融資等の支援を受けられる機会が増えます。

農業者年金保険料の国庫補助

青色申告をしている認定農業者等と家族経営協定を締結して農業経営に参画している配偶者や後継者に対しては、一定割合の保険料の国庫助成を受けることができます。

農業次世代人材投資資金

経営開始型を利用して、夫婦ともに就農する場合、家族経営協定などにより共同経営者であることが明確である場合には、夫婦併せて1.5人分が交付されます。

農林水産祭参加の表彰行事における夫婦連名表彰

経営への配偶者の貢献度が高いことが家族経営協定書などで明らかな場合は夫婦連名で表彰が受けられます。

行政書士しょうじ事務所では、農地転用の許可申請をはじめ、農業への新規参入や法人化(株式会社、合同会社の設立)のお手伝いなど、農業経営全般の支援をさせていただいております。お困りごとがありましたら、お気軽にご相談ください。