お酒の免許|酒類卸売業免許の申請手続き|要件や必要書類は?

酒類販売業者または酒類製造者に対して継続的にお酒を販売(卸売)することができる免許が「酒類卸売業免許」です。

免許は販売場ごとに受ける必要があり、たとえば、本店で免許を受けている場合であっても、支店でお酒の販売業を行おうとする場合には、支店の所在地の所轄税務署長から新たに免許を受ける必要があります。

税務署では、申請者の法律の遵守状況や経営の基礎の状況、販売設備の状況などを審査し、これらの要件を満たしていれば販売業免許が付与されることになります。

免許が付与される場合は、登録免許税を納付し、免許通知書の交付を受けて、お酒の販売を開始することができます。酒類卸売業免許の場合、免許の期限はなく、更新手続きはありません。

「酒類卸売業免許」を取得するためには、次の4つの要件を満たしていることが求められます(酒税法10条)。

  • 人的要件
  • 場所的要件
  • 経営基礎要件
  • 需給調整要件

人的要件

申請者に、過去において法律違反や税金滞納の事実があるなど、規範意識に欠けているかを判断するための基準です。法人申請の場合は、役員全員について審査されます。

場所的要件

酒類販売を営む販売場が適切な場所に設けられているかを判断するための基準で、以下の2つを定めています。

  • 申請販売場が、製造免許を受けている酒類の製造場や販売業免許を受けている酒類の販売場、酒場又は料理店等と同一の場所でないこと
  • 申請販売場における営業が、販売場の区画割り、専属の販売従業者の有無、代金決済の独立性、その他販売行為において他の営業主体の営業と明確に区分されていること

経営基礎要件

酒類販売業を営むにあたって、申請者の資金、経験、知識、経営状態などが十分に備わっているかを判断するための基準です。たとえば、国税・地方税の滞納、銀行取引停止処分、繰越損失の資本金超過などがある場合、経営の基礎が薄弱であると認められ、要件を満たさないことになります。

需給調整要件

「全酒類卸売業免許」と「ビール卸売業免許」の2つの免許に対して設けられている要件です。それぞれの免許に係る販売場数と消費数量のそれぞれの地域的需給調整を行うために、卸売販売地域が設けられています。免許の件数に制約があるのです。

酒類卸売業免許の申請(新規販売場の免許申請)では、次の書類が求められます。

提出書類留意事項
酒類販売業免許申請書
「販売場の敷地の状況」販売場が建物の一部であっても建物の全体図にその位置を示す
「建物等の配置図」倉庫部分や、酒類の陳列場所における表示について明示する
「事業の概要」店舗等の広さ、什器備品等について記載する
「収支の見込み」事業計画、規模にあった収支見込みを作成する
予定仕入先及び予定販売先の取引承諾書等を添付すること
「所要資金の額及び調達方法」自己資金の場合は資金捻出の根拠説明書又は残高証明書等、融資の場合は融資証明書等をそれぞれ提出する
酒類販売業免許の免許要件誓約書申請者、申請者の法定代理人、申請法人の役員及び申請販売場の支配人について、提出する
申請者の履歴書(法人の場合には、役員の履歴書)法人の場合には、監査役を含めた役員全員の職歴を記載する
定款の写し申請者が法人の場合に提出する
契約書等の写し土地、建物、設備等が賃貸借の場合は賃貸借契約書等の写し、建物が未建築の場合は請負契約書等の写し、農地の場合は農地転用許可に係る証明書等の写しをそれぞれ提出する
地方税の納税証明書(1)都道府県及び(2)市区町村が発行する納税証明書で、申請者につき各種地方税について、以下の両方の証明がされたものが必要
・未納の税額がない旨
・2年以内に滞納処分を受けたことがない旨

申請者が法人の場合には、証明事項に「特別法人事業税」を含めること。
最終事業年度以前3事業年度の財務諸表申請者が個人の場合には、収支計算書等を提出する
土地及び建物の登記事項証明書登記事項証明書は、全部事項証明書に限る。
申請販売場の建物が複数の土地にまたがる場合には、その全ての地番に係る土地の登記事項証明書が必要。
その他参考となるべき書類税務署長が審査段階で必要と認めた書類
免許申請書チェック表必要な添付書類が添付されているかを確認し、チェックすること

取引承諾書

酒類卸売業免許の申請では、予定仕入先と予定販売先の「取引承諾書」の提出が求められます。取引承諾書は、「あなたとお酒の取引することを承諾する」という内容の文書で、仕入先・卸売先のそれぞれ最低1社ずつから取得する必要があります。お酒の免許を申請する段階で、取引先を確保しておく必要があるのです。

なお、「卸売」の免許なので、一般消費者や飲食店などを取引先とすることはできません。

酒類卸売業免許が付与される場合、登録免許税を納付する必要があります。税務署から「酒類販売業免許に伴う登録免許税の納付通知書」により通知があり、税務署又は金融機関等で登録免許税を納付します。

酒類卸売業免許の登録免許税の額は、免許1件につき9万円(酒類小売業免許を条件緩和(解除)する場合は6万円)です。

登録免許税の納付に係る領収証書は、「登録免許税の領収証書提出書」に貼付して、指定された期日までに税務署に提出が必要です。

免許を受けないで酒類の販売業を行った場合や酒類の小売しかできない免許で酒類の卸売をした場合には、酒税法上、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることがあります。

また、偽りその他不正な行為により免許を受けた場合など一定の要件に該当する場合には、免許が取り消されることがあります。

行政書士しょうじ事務所は、お酒の小売・卸売・輸出・輸入などを始めたい方を対象に、酒類販売業免許申請の手続き支援を行っております。初回相談無料・全国対応いたしますので、お気軽にお問い合わせください。