輸出許可申請|特定類型の該当性

外為法では、「国境を越える規制技術の提供」、「居住者から非居住者への規制技術の提供」の2つの行為を経済産業大臣への許可申請が必要な「技術の提供」として管理しています。非居住者は最終的には出国する見込みが高いことから、輸出とみなして管理しており、居住者から非居住者へ技術の提供を行うことを「みなし輸出」といいます。

特定類型とは、例えば、外国政府から留学資金の提供を受けている学生や、外国政府から多額の研究資金や生活費の提供を受けている研究者、外国企業と兼業している日本企業の従業員など、「居住者が非居住者(外国政府や外国法人)からの影響を強く受けている状態にあること」をいいます。特定類型には3つの類型があり、該当する場合は、居住者への技術提供であっても、みなし輸出管理の対象となります。

特定類型とは、「居住者(自然人のみ)が非居住者から強い影響を受けている状態のこと」を指し、概要は下表のようになります。

類型の定義具体例
特定類型①外国法人等又は外国政府等と雇用契約等を締結しており、当該外国法人等又は当該外国政府等の指揮命令に服する又はそれらに対して善管注意義務を負う者。但し、以下の場合は除く。

(イ)当該者が日本法人と雇用契約等を締結しており、当該者又は当該日本法人が当該外国法人等又は当該外国政府等との間で、指揮命令等について日本法人の指揮命令等が優先すると合意している場合

(ロ)当該者が日本法人と雇用契約等を締結しており、かつグループ外国法人等(*1)と雇用契約等を締結している場合

(*1) グループ法人等とは
・日本法人の50%以上の議決権を保有する外国法人等
・日本法人により50%以上の議決権を保有される外国法人等
・外国企業と兼業している日本の企業の従業員
・外国企業の取締役等に就任している日本企業の取締役等又は従業員
など
(外資系の日本法人は、外国企業ではない)

※日本企業の指揮命令権が優先すると外国企業と合意している場合や、外国企業が日本企業との間で50%以上の資本関係にある場合には特定類型に該当しません。
特定類型②外国政府等から多額の金銭その他の重大な利益(金銭換算する場合に当該者の年間所得のうち25%以上を占める金銭その他の利益をいう)を得ている者又は得ることを約している者・外国政府等から経済的な支援を受けている従業員
・外国政府等から過去に貸与等の形で利益を受けたが返済を免除され、債務履行請求権の不行使という利益を現に得ている従業員
など
特定類型③国内における行動に関し、外国政府等の指示又は依頼を受ける者・外国政府からの指示で日本のある調査を依頼されている従業員
など
<特定類型の概要>

規制技術を提供する相手先が特定類型に該当するかどうかを判断する際の考え方は、「特定類型の該当性の判断に係るガイドライン」に記載されています。これに従った確認を行えば、相手先の特定類型該当性の確認について、通常果たすべき注意義務を果たしたものと解され、仮に相手先が特定類型該当者であったことに気づかなかったとしても、規制技術の提供に当たり許可を取得しなかったことについて無過失となり、罰則又は行政処分の対象にはならないとされています。

ガイドラインの概要は下表のようになっています。従業員については、常勤又は非常勤といった雇用形態にかかわらず、提供者である企業の指揮命令下にある者として取り扱う必要があります。

受領者が提供者の指揮命令下にない
(例:雇用契約のない研究員、インターンシップの学生等)
受領者が提供者の指揮命令下にある
(例:従業員等)
共通
特定類型①

特定類型②
商慣習上、技術提供取引を行う上で通常取得することとなる契約書等の書面において記載された情報から、受領者が特定類型に該当することが明らかな場合

→漫然と技術提供を行う場合、通常果たすべき注意義務を履行していないと解される
以下の方法で特定類型に該当するか否かを確認している場合は、通常果たすべき注意義務を履行していると解される

<採用時>
自己申告による確認
※改正役務通達の施行時点ですでに採用している場合は不要

<勤務時>
新たに特定類型に該当することとなった場合における報告義務を課すことによる確認
※就業規則において、副業行為等の利益相反行為が禁止・申告制になっている場合を含む
特定類型に該当する可能性があると経済産業省が提供者に連絡をした場合

→漫然と技術提供を行う場合、通常果たすべき注意義務を履行していないと解される
特定類型③商慣習上、技術提供取引を行う上で通常取得することとなる契約書等の書面において記載された情報から、受領者が特定類型に該当することが明らかな場合

→漫然と技術提供を行う場合、通常果たすべき注意義務を履行していないと解される
同左同上
<特定類型の該当性の判断に係るガイドラインの概要>

特定類型の該当性の確認は、技術提供の場面ごとに個別に行うことが原則とされていますが、社内における従業員への技術提供のように、日常的に行われる技術提供への管理方法としては現実的ではない場合があります。こうした技術提供の際の外為法違反のリスクを包括的に、かつ未然に防止する観点から、従業員等の採用・受入れ時において次のような方法で特定類型該当性の確認を行うことが推奨されています。

自社で雇用する従業員について

令和4年5月1日以降に採用される従業員については、誓約書等で特定類型該当性について自己申告を求めることで確認を行い、勤務期間中に特定類型に該当することとなった際には報告することを就業規則等の内部規則により担保します。

同日時点で既に勤務している従業員については、就業規則等に基づき、兼業の報告等を適切に求めることで特定類型該当性の確認を行います。なお、同日以前に兼業の報告等のあった従業員については、既に得ている報告等の内容から特定類型該当性の確認を行います。

現時点で就業規則等において、副業行為を含む利益相反行為を禁止・申告制とする規定がない場合や、規定はあるものの、当該規定が適用されない従業員がいる場合は、採用時期にかかわらず、令和4年5月1日以降に誓約書等で特定類型該当性について自己申告を求めることで確認を行うとともに、勤務期間中に特定類型に該当することとなった際には報告することを誓約書により担保します。

これら従業員が特定類型に該当することが確認された場合は、規制技術の提供の前までに、例えば「取引審査票」を作成し、規制技術の提供を行うか否かの判断を行う必要があります。

自社で雇用しない者について

雇用契約を結ばない研修生等を受け入れる場合については、通常取得することとなる契約書等の書面において記載された情報から特定類型該当性の確認を行い、これらの者が特定類型に該当することが確認された場合は、従業員と同様の手続を行う必要があります。

注意点