法人設立|電子公告

公告とは、決算書類や合併情報について、株主や国などに開示することです。株式会社には公告義務があり、会社に一定の変更(合併、資本金減少など)が生じた場合には公告しなければなりません。

公告の方法には、「官報」「日刊新聞紙」「電子公告」の3つの方法があります。定款に公告方法を定めていない場合には「官報」による公告となり、「日刊新聞紙」「電子公告」による公告方法を採る場合には定款に定めておくことが必要です。

本ページでご紹介する「電子公告」とは、自社のホームページに掲載することによって公告する方法で、ホームページにアクセスすれば公告の内容を知ることができます。

電子公告のメリットは、官報や日刊新聞紙での公告に比べて、費用を抑えられることです。

官報や日韓新聞紙での公告の場合、限りある紙面を割くため、どうしても費用がかかります。電子公告を利用すれば、サーバーやドメイン代などの費用のみで済みます(※決算公告以外を電子公告で行なう場合は、電子公告調査費用がかかります)。

なお、公告の方法は組み合わせることができ、「決算公告は電子公告で行い、その他の公告は官報で行なう」という組み合わせにすると、1番コストを抑えることができます。決算公告を電子公告で行なう場合は、電子公告調査が不要なので、費用は官報への掲載料のみで済みます。

電子公告のデメリットは、官報や日刊新聞紙での公告に比べて、時間と手間がかかることです。

官報や日刊紙での公告の場合、特定の日に発刊される紙面の限られたスペースで実施するため、公告の要旨のみ掲載することがほとんどです。しかし、ウェブサイトに掲載する電子公告の場合は、掲載スペースや掲載期間に制約がありません。そのため、決算公告は要旨のみではなく全文を掲載しなければならず、決算公告の掲載期間は5年間とされています。

電子公告の手続きは、次のような流れで行なわれます。

  • 定款に電子公告を公告方法と定める(既存会社の場合は定款変更する)
  • 登記申請をおこなう
  • 電子公告調査機関に調査を委託する
  • 電子公告調査機関は法務大臣に調査委託があったことを報告する
  • 公告開始(電子公告調査開始)
  • 公告期間満了(電子公告調査終了)
  • 電子公告調査機関から会社に対して、調査の結果が通知される
  • 調査結果通知を「公告をしたことを証する書面」として合併等の登記申請書に添付

定款に電子公告を公告方法と定める

公告を電子公告によって行うためには、定款にその旨を定めておく必要があるので、会社等を新しく設立する場合には、定款に以下のように記載をします。

公告方法の定款記載例①(電子公告により行う旨のみを定めた場合)
第〇条 当会社(当法人)の公告は、電子公告により行う。

なお、事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合の公告方法(官報又は日刊新聞紙のいずれか)を定款に定めることができます。

公告方法の定款記載例②(予備的公告方法として「官報」に掲載する方法を定めた場合)
第〇条 当会社(当法人)の公告は、電子公告により行う。ただし、事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合は、官報に掲載する方法により行う。

公告方法の定款記載例③(予備的公告方法として「日刊新聞紙」に掲載する方法を定めた場合)
第〇条 当会社(当法人)の公告は、電子公告により行う。ただし、事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合は、東京都において発行する〇〇新聞に掲載する方法により行う。

登記申請

既存の会社が定款を変更して電子公告を公告方法とした場合には、2週間以内に、本店(主たる事務所)所在地の管轄登記所に登記の申請をしなければなりません。

この場合には、公告方法のほかに公告ホームページのURLについても登記が必要です。

電子公告調査機関への調査の委託

電子公告は、決算公告の場合を除いて、公告期間中に電子公告が適法に行なわれたかどうかについて、法務大臣の登録を受けた電子公告調査機関の調査を受けなければなりません。

電子公告調査機関は、公告期間中、定期的にホームページを調査して正常に掲載されていたかや、改ざんがされていないか等を判定して、その結果を記録することとなります。

決算公告に関する特例

決算公告については、他の公告事項について電子公告を行なう場合とは異なり、電子公告調査機関の調査を受ける必要はありません。ただし、官報等に公告をする場合と異なり、要旨を公告することはできず、必ず全文を公告しなければなりません。

なお、公告方法を官報又は日刊新聞紙による方法としている場合であっても、決算公告のみを自社のホームページに掲載することも可能です。この場合には、貸借対照表等が掲載されるウェブページのURLを登記する必要があります。

調査結果の通知

公告を官報又は日刊新聞紙に掲載した場合には、公告が掲載された印刷物が客観的な証拠資料となるのに対し、電子公告により公告が行われた場合に適法な公告がされたことの客観的証拠資料となるのが電子公告調査機関の作成にかかる調査結果通知です。

この調査結果通知は、商業・法人登記の申請書に「公告をしたことを証する書面」として添付することができます。

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