戸籍|死亡した配偶者の親族と縁を切りたいとき

一方の配偶者と他方の配偶者の血族との関係を姻族といいます。離婚すると姻族との関係は終了しますが、婚姻期間中に配偶者の一方が死亡した場合、姻族関係は自動的に解消されるわけではありません。姻族関係を継続することも、解消することも、生存している配偶者が自分の意思で決めることです(民法第七百二十八条の二)。このページでは、姻族関係を終了させる手続についてお伝えしていきます。

姻族

一方の配偶者と他方の配偶者の血族との関係を姻族といい、3親等内の姻族は親族となります(民法第七百二十五条三号)。

また、直系血族(父母・祖父母・曾祖父母・子・孫・ひ孫などが該当)及び兄弟姉妹は互いに扶養する義務がありますが、特別な事情があるときは家庭裁判所の審判により3親等内の親族間においても扶養義務が課される場合があります(民法第八百七十七条)。

つまり、姻族(配偶者の父母、祖父母、曾祖父母、叔父叔母、兄弟姉妹、甥姪などが該当)に対しても、扶養義務を負う場合があるということです。

姻族に対する扶養義務

扶養義務とは、自力では生活が成り立たない親族を経済的に援助する義務のことです。この扶養義務は、生活保持義務生活扶助義務の2つに分かれると解されています。姻族に対する扶養義務は、このうちの生活扶助義務にあたります。

生活保持義務

生活保持義務とは、扶養義務者(援助する人)自身と同じ水準の生活を、被扶養者(援助を受ける人)にも保証する義務です。生活保持義務を負うのは、被扶養者の配偶者と、未成年の子どもである被扶養者の両親です。

生活扶助義務

生活扶助義務とは、扶養義務者自身の生活は通常どおり維持できることを前提とし、その余力の範囲内で、被扶養者を扶養する義務です。例えば、成人している子どもに対して両親が負う扶養義務や、自分の兄弟姉妹に対する扶養義務は、生活扶助義務となります。

姻族関係終了届の提出

配偶者が死亡した後、姻族関係を終了させたい場合は、姻族関係終了届を提出します。提出する人の本籍地か住所地の役所に姻族関係終了届を提出し受理されると、姻族との関係は終了し、姻族(死亡した配偶者の父母、兄弟姉妹など)に対する扶養義務や介護の義務はなくなります。姻族関係終了届を提出する際に姻族の同意は不要であり、生存している配偶者の意思により行うことができます。

姻族関係終了届を提出しときの戸籍

例えば、戸籍の筆頭者である夫が死亡した場合、妻は夫婦の姓のままでいることもできますし、復氏届を役所に提出することで結婚前の旧姓に戻ることもできます。

妻が夫婦の姓でいる場合、妻は夫婦の戸籍に在籍したままです。一方、復氏届を提出した場合、妻は夫婦の戸籍から除籍され、前の戸籍に復籍するか、妻だけが在籍する新しい戸籍が作られます。

姻族関係終了届は、復氏するかしないかに関わらず、どちらの場合でも行うことができる手続きです。姻族関係終了届を役所に提出し受理されると、妻の戸籍の身分事項欄に、姻族関係を終了した旨が記載されます。

例として、「復氏した妻が姻族関係終了届を出したときの戸籍」をご参考下さい。

姻族関係終了に関する注意点

一度姻族関係終了届を提出すると、取り消すことはできません。将来、自分が経済的に困るようなことがあったとしても、姻族に頼ることはできません。

また、提出した本人は姻族に対する扶養義務や介護義務はなくなりますが、子どもがいる場合、その子どもは姻族と血族関係にあるので、子どもと姻族との間では扶養義務や介護義務がなくなるわけではありません。