お酒の免許|酒類販売管理者|要件や役割は?

酒類小売業者は、販売場ごとに、酒類の販売業務を開始するときまでに、「酒類販売管理者」を選任しなければなりません。
酒類販売管理者を選任しないと50万円以下の罰金に処されることがあり、この罰則を受けると免許の取消要件に該当し、免許を取り消されることがあります。
なお、卸売業免許のみの場合には、「酒類販売管理者」の選任は必要ありません。
酒類販売管理者の要件
酒類販売管理者に選任することができる人は、酒類の販売業務に従事する者で酒類販売管理研修を過去3年以内に受けた人のうち、次の要件①~③の全てに該当する人です。
要件①:人的要件
次の1~3に該当しない者であること
- 未成年者
- 精神の機能の障害により酒類販売管理者の職務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
- 酒税法第10条第1号、第2号又は第7号から第8号までの規定に該当する者
要件②:継続的な雇用
酒類小売業者に引き続き6か月以上の期間継続して雇用されることが予定されている者(酒類小売業者と生計を一にする親族及び雇用期間の定めのない者を含む)であること
要件③:兼任していないこと
他の販売場において酒類販売管理者に選任されていない者であること(※同一人が複数の販売場の酒類販売管理者になることはできません)
「酒類の販売業務」に従事する者とは
「酒類の販売業務」に従事する者とは、その販売場における酒類の販売(スーパーマーケット等のレジにおいて酒類の代金の決済を行うことを含む)または酒類の陳列、管理及び商品説明等の業務に従事する者のことを言います。
たとえば、単に酒類売場の責任者のポストに就いているだけで、実際に「酒類の販売業務」に従事しない又は販売場にほとんど顔を出さないような人は「従事」しているとはいえません。
酒類販売管理者の役割
酒類販売管理者の役割は、酒類小売業者に対して適切な販売管理を行うよう助言をしたり、お酒の販売を行う従業員等に指導を行うことです。具体的には、関係法令の知識習得等を目的とする社内研修の実施を促したり、年齢確認を徹底するよう従業員に教育したりします。
酒類販売管理者の選任・届出
酒類販売管理者の選任は、その販売場において酒類の販売業務を開始するときまでに行わなければなりません。酒類販売管理者を選任したときは、2週間以内に「酒類販売管理者選任(解任)届出書」を、販売場を所轄する税務署に提出しなければなりません。
この届出を怠った場合には、10万円以下の過料に処されることがあります。
酒類販売管理研修の受講
酒類販売管理研修では、酒類の適切な販売管理のために、酒類の特性や遵守すべき関係法令、酒類の商品知識などについて知識を習得します。
なお、酒類販売管理研修は、小売酒販組合など、財務大臣が指定した団体が実施しており、研修の受講には各研修実施団体が定める受講手数料がかかります。
酒類販売管理研修の定期受講
酒類小売業者は、酒類販売管理者に、前回の受講から3年を超えない期間ごとに酒類販売管理研修を受講させなければなりません。
定期的な研修の受講をさせていない場合には、勧告・命令を受けることがあります。命令に違反した者は、50万円以下の罰金に処されることがあり、併せて免許を取り消されることがあります。
標識の掲示
酒類の販売場ごとに、酒類販売管理者に関する標識を見やすい場所に掲げる必要があります。「公衆の見やすい場所」であれば、レジ横でもお酒の陳列棚付近でもOKです。
また、カタログ等(インターネット等によるものを含む)を利用した通信販売を行なう場合、カタログ等に酒類販売管理者の氏名や販売管理研修の受講事績等の表示が必要となるので、カタログ等の見やすい場所に表示します。
標識のひな形は、国税庁のホームページに掲載されています。
よくあるQ&A
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酒類販売管理者にアルバイト等を選任することはできるか?
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酒類小売業者に引き続き6ヶ月以上継続して雇用されることが予定される者であれば、パート、アルバイト、契約社員であっても酒類販売管理者に選任することができます。派遣社員の場合は、酒類小売業者と雇用関係が存在しないため、派遣期間の長短を問わず、酒類販売管理者に選任することはできません。
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酒類販売管理者は常駐しなければならないか?
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常駐する義務はありませんが、次の①~⑦のいずれかに該当する場合には、酒類の販売業務に従事する人の中から、酒類販売管理者に代わる方を責任者として指名し、配置することが求められます。
- 夜間(23時から翌日5時)において、酒類の販売を行なう場合
- 酒類販売管理者が常態として、その選任された販売場に長時間(2~3時間以上)不在となることがある場合
- 酒類売り場の面積が著しく大きい場合(100平方メートルを超える毎に、1名以上の責任者を指名)
- 同一建物内において、酒類売場を設置している階が複数ある場合(酒類販売管理者のいない階ごとに、1名以上の責任者を指名)
- 同一の階にある複数の酒類販売場が著しく離れている場合(20メートル以上離れている場合)
- 複数の酒類売り場が著しく離れていない場合であっても、同一の階において酒類売場の点在が著しい場合(3カ所以上ある場合)
- その他酒類販売管理者のみでは酒類の適正な販売管理の確保が困難と認められる場合
おわりに
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