お酒の免許|酒税法上のお酒の定義と分類

「酒税法」において酒類は、課税上の必要性から製造方法による分類とは異った分類がなされ、さらに「品目」でも分類されています。

お酒は「品目」によって酒税率が異なりますし、酒類販売業免許を申請する場合は取り扱う(販売する)予定のお酒の「品目」を決めなければなりませんので、お酒の分類・品目についてきちんと把握しておくことが大切です。

酒税法において酒類とは、アルコール分1度以上の飲料のことをいいます。

これには、飲用に供し得る程度まで水等を混和してそのアルコール分を薄めて1度以上の飲料とすることができるものや、水等で溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のものも含まれます。

ただし、アルコール事業法の適用を受けるもの(同法の規定する特定アルコールを精製し又はアルコール分を90度未満に薄めたもので、明らかに飲用以外の用途に供されると認められるものを含む)や医薬品医療機器等法の規定により製造(輸入販売を含む)の許可を受けたアルコール含有医薬品・医薬部外品などは酒税法上の酒類から除かれます。

酒税法では、酒類の製法や性状に着目して、下表のように、①発泡性酒類、②醸造酒類、③蒸留酒類、④混成酒類の4種類に分類し、その分類ごとに異なる税率を適用することを基本としています。

酒類の種類内訳
発泡性酒類ビール、発泡酒、その他の発泡性酒類(ビール及び発泡酒以外の酒類のうちアルコール分が11度未満(※)で発泡性を有するもの)
(※)令和8年9月30日までは10度未満
醸造酒類清酒、果実酒、その他の醸造酒
蒸留酒類連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、スピリッツ
混成酒類合成清酒、みりん、甘味果実酒、リキュール、粉末酒、雑酒

上表のとおり、課税上の必要性から4種類に分類された酒類は、さらに17品目の酒類に区分されています。

品目定義の概要
清酒・米、米こうじ及び水を原料として発酵させてこしたもの
(アルコール分が22度未満のもの)
・米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させてこしたもの
(アルコール分が22度未満のもの)
合成清酒・アルコール、焼酎又は清酒とぶどう糖その他政令で定める物品を原料として製造した酒類で、その香味、色沢その他の性状が清酒に類似するもの
(アルコール分が16度未満でエキス分が5度以上等のもの)
連続式蒸留焼酎・アルコール含有物を連続式蒸留機により蒸留したもの
(アルコール分が36度未満のもの)
単式蒸留焼酎・アルコール含有物を連続式蒸留機以外の蒸留機により蒸留したもの
(アルコール分が45度以下のもの)
みりん・米、米こうじに焼酎又はアルコールを加えてこしたもの
(アルコール分が15度未満でエキス分が40度以上等のもの)
ビール・麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの
(アルコール分が20度未満のもの)
・麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもので、下記の条件を満たすもの
(アルコール分が20度未満のもの)
・上記に掲げるビールにホップ又は政令で定める物品を加えて発酵させたもので、下記の条件を満たすもの
(アルコール分が20度未満のもの)

(条件) 麦芽比率が100分の50以上であること並びに使用した果実(乾燥したもの、煮詰めたもの又は濃縮した果汁を含む。)及び一定の香味料の重量が麦芽の重量の100分の5を超え
ない(使用していないものを含む。)こと
果実酒・果実を原料として発酵させたもの(アルコール分が20度未満のもの)
・果実に糖類を加えて発酵させたもの(アルコール分が15度未満のもの)
・上記に掲げる果実酒にオーク(チップ状又は小片状のもの)を浸してその成分を浸出させたもの
甘味果実酒・果実酒に糖類又はブランデー等を混和したもの
ウイスキー・発芽させた穀類及び水を原料として糖化させて発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの
ブランデー・果実若しくは果実及び水を原料として発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの
・果実酒にオーク(チップ状又は小片状のもの)を浸してその成分を侵出させたものを蒸留したもの
原料用アルコール・アルコール含有物を蒸留したもの(アルコール分が45度を超えるもの)
発泡酒・麦芽又は麦を原料の一部とした酒類で発泡性を有するもの(アルコール分が20度未満のもの)
・ホップ又は苦味料を原料の一部とした酒類で発泡性を有するもの(アルコール分が20度未満のもの)
・香味、色沢その他の性状がビールに類似する酒類で発泡性を有するもの(アルコール分が20度未満のもの)
その他の醸造酒・穀類、糖類等を原料として発酵させたもの(アルコール分が20度未満でエキス分が2度以上のもの)
スピリッツ・上記のいずれにも該当しない酒類でエキス分が2度未満のもの
リキュール・酒類と糖類等を原料とした酒類でエキス分が2度以上のもの
粉末酒・溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のもの
雑酒上記のいずれにも該当しない酒類

酒税は、酒類に課せられる間接税の一種で酒税法に定められています。酒造メーカーから出荷される際に課税され、酒類の品目やアルコール度数に応じて税額が決められています。

酒税の納税義務の成立時期

酒税法では、酒税の納税義務者について、酒類の製造者と酒類を保税地域から引き取る者と規定しており、それぞれの納税義務の成立時期は次のように決められています。

  • 酒類の製造者の場合:酒類の製造場からの移出の時
  • 酒類を保税地域から引き取る者の場合:保税地域からの引き取りの時

なお、食品衛生法や医薬品医療機器等法の規定により収去される酒類がその製造場から移出され又は保税地域から引き取られる場合には、その酒類には酒税を課さないこととされています。このほか、次のいずれかに該当するときは、酒類の移出又は引取りとみなされます。

移出とみなされる場合

  • 酒類等が製造場において飲用されたとき
  • 酒類の製造免許に付された期限が経過した場合又は酒類等の製造免許が取り消された若しくは消滅した場合に酒類等がその製造場に現存するとき
  • 酒類等の製造免許を取り消された者が「必要な行為の継続等」の規定の適用を受けて酒類等を製成したとき
  • 酒類等の製造場に現存する酒類等が滞納処分等により換価されたとき

引取りとみなされる場合

  • 酒類等が保税地域において飲用されたとき

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