契約|収入印紙の取り扱い
収入印紙は、契約書や領収書など、法律で決められた書類を作成したときに課される印紙税という税金を納税するために使用されます。
印紙税の納め方
郵便局やコンビニなどで必要な金額の収入印紙を購入し、作成した契約書などに貼り付けて消印すると、印紙税を納めたことになります。消印とは、契約書などに貼った収入印紙と台紙にまたがるように印鑑を押して、印紙の再利用を防止するために行うものです。
なお、収入印紙は国が発行し、印紙税の納税や国(各省庁)への手数料納付を目的としたものです。似たようなものとして「収入証紙」があります。収入証紙は、地方自治体の収入となる租税や手数料、その他収納金を徴収するために使われるものなので、契約書や領収書には使用できません。
印紙税を負担する人
印紙税法上において「印紙税は書面の作成者に課税される」と定められています。したがって、契約書であれば契約の当事者が、領収書であれば発行者が印紙税を負担します。
なお、印紙税は契約書の原本を作成したことに課税される税金なので、原本を複数作成した場合には、その作成した通数分だけ、課税されます。
収入印紙が必要な文書
収入印紙が必要な文書は、印紙税法という法律によって定められています。一例ですが、たとえば、次のような文書を作成すると収入印紙が必要になります。
収入印紙の金額は、領収書や契約書に記載した金額に応じて決まります。詳細は、国税庁ホームページに掲載されている印紙税額の一覧表をご参照ください。
領収書(売上代金)
売上代金の領収書に貼る収入印紙の金額は下表の通りです。なお、売上代金とは、資産を譲渡したり、役務を提供することに対する対価のことをいいます。
書類記載の額面 | 印紙代 |
---|---|
5万円未満 | 不要 |
5万円以上 100万円以下 | 200円 |
100万円超 200万円以下 | 400円 |
200万円超 300万円以下 | 600円 |
300万円超 500万円以下 | 1千円 |
500万円超 1千万円以下 | 2千円 |
1千万円超 2千万円以下 | 4千円 |
2千万円超 3千万円以下 | 6千円 |
3千万円超 5千万円以下 | 1万円 |
金額の記載がないもの | 200円 |
領収書(売上代金以外)
売上代金以外の領収書に貼る収入印紙の金額は下表の通りです。なお、売上代金以外とは、たとえば、借入金、担保としての保証金、保険金や損害賠償金などが該当します。
書類記載の額面 | 印紙代 |
---|---|
5万円未満 | 不要 |
5万円以上 | 200円 |
金額の記載がないもの | 200円 |
金銭消費貸借契約書
金銭消費貸借契約書とは、お金を借りるときに結ぶ契約のことで、借用書や借入書などが該当します。
書類記載の額面 | 印紙代 |
---|---|
1万円未満 | 非課税 |
1万円以上 10万円以下 | 200円 |
10万円超 50万円以下 | 400円 |
50万円超 100万円以下 | 1千円 |
100万円超 500万円以下 | 2千円 |
500万円超 1千万円以下 | 1万円 |
1千万円超 5千万円以下 | 2万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
工事請負契約書
工事請負契約書とは、工事を完成させることで代金がもらえる契約です。
書類記載の額面 | 印紙代 |
---|---|
1万円未満 | 非課税 |
1万円以上 100万円以下 | 200円 |
100万円超 200万円以下 | 400円 |
200万円超 300万円以下 | 1千円 |
300万円超 500万円以下 | 2千円 |
500万円超 1千万円以下 | 1万円 |
1千万円超 5千万円以下 | 2万円 |
5千万円超 1億円以下 | 6万円 |
1億円超 5億円以下 | 10万円 |
5億円超 10億円以下 | 20万円 |
10億円超 50億円以下 | 40万円 |
50億円超 | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
取引基本契約書
取引基本契約書とは、商品の売上先や仕入先と個々の取引ではなく、取引に共通する基本的な条件(商品の種類、取扱数量、単価、支払方法など)を取り決めた契約書です。印紙代は一律4千円です。
収入印紙が不要な文書
印紙税は、契約書などの書面を作成したことに課される税金なので、書面が作成されない電子契約や、メール本文で作成した契約書データの場合は印紙税がかかりません。
また、印紙税は原本の作成に課税されるものなので、締結した契約書のコピーをつくっても、コピーには課税されません。
海外で作成した契約書
印紙税法は日本の国内法なので、その適用地域は日本国内に限られます。したがって、課税文書の作成が国外で行われる場合には、たとえその文書に基づく権利の行使が国内で行われるとしても、また、その文書の保存が国内で行われるとしても、印紙税は課税されません。
たとえば、日本の企業が海外の企業と売買契約を締結することになり、日本の企業が契約書を2通作成し、それに代表者の署名押印をして海外企業に郵送するとします。そして、海外企業はこれに署名し、そのうちの1通を日本企業宛に返送する場合、この売買契約書は海外で作成した契約書となるため、印紙税は課税されないことになります。
収入印紙を貼らなかった場合
税務調査で印紙を貼り忘れていることが明らかになると、原則として本来の金額の3倍分の過怠税が課せられませす。また、貼ってあっても消印をしていない場合は、本来の金額と同額分の過怠税が課せられます。
おわりに
行政書士しょうじ事務所では、契約書作成のお手伝いをさせていただいております。契約書の作成に関してお困りごとがありましたら、是非ご相談ください。