法人設立|株式会社を設立するときの手続き

株式会社の設立には、1人以上の発起人が必要です。発起人は自然人でも法人でもなることができ、定款に発起人として署名または記名押印をした人だけが発起人となります。

発起人には、会社の設立に関する様々な権限が認められますが、会社法の規定を遵守しなければならず重い責任も課されます。

発起人の役割

発起人は、株式会社を設立するために自ら、発行予定の株式の全部または一部を引き受けたり、発行予定の株式の引受人を募集したり、設立のために必要な手続きを実行し、設立直後から会社が営業を開始するための準備行為を行なったりします。

発起人の責任

発起人が会社の設立について任務を怠ることにより会社に損害が生じたときは、発起人は会社に対して損害賠償責任を負います。また、職務を行なうについて悪意または重過失があり、その結果、第三者に損害が生じたときは、発起人はその者に対して損害賠償責任を負います。

さらに、株式会社が成立しなかったときは、発起人は連帯して、株式会社の設立に関して責任を負い、支出した費用を負担しなければなりません。

株式会社の設立手続きは、次のような流れで行なわれます。

  • 設立時の基本事項の決定
  • 会社の印鑑と関係者の印鑑証明書を用意する
  • 会社の設立日を決める
  • 定款を作成する
  • 公証役場で定款認証を受ける
  • 発起人の個人口座に資本金を振り込む
  • 会社の設立登記を申請する
  • 印鑑カードの交付申請をする

株式会社をつくるために、次の事項を決定します。

  • 会社の商号
  • 事業目的
  • 本店所在地
  • 資本金
  • 1株の価格
  • 発行する株式総数
  • 公告の方法
  • 譲渡制限の定め
  • 役員
  • 任期
  • 決算期
  • 登記申請日

会社の商号

商号とは、会社の名前のことです。商号には必ずその会社の形態名が含まれていなければならないので、株式会社であれば、商号の中に「株式会社」と入れます。株式会社を設立するのに、「合同会社」と名乗ることはできません。

また、商号に使用できる文字にも制限があり、下表のような表記ルールがあります。日本文字、ローマ字、アラビア数字、一部の記号を用いることができます。

文字の使い方

会社の商号には、下表の文字を使用することができます。

文字記載例
漢字東西株式会社
ひらがなとうざい株式会社
カタカナトウザイ株式会社
ローマ字Touzai株式会社
Tou zai株式会社

記号の使い方

会社の商号には、下表の記号を使用することができます。

記号記載例
「&」Tou&zai株式会社
「’」Tou’zai株式会社
「,」Tou,zai株式会社
「ー」Touーzai株式会社
「.」Touzai.株式会社
「・」Tou・zai株式会社

事業目的

事業目的は、のちに作成する定款にも記載することになります。定款に記載されていない事業は行うことができないので、将来展開していきたい事業内容まで考えて決めるようにしましょう。

本店所在地

会社の本店とは、その法人が所在する場所のことです。架空の住所では登記できません。拠点となる場所を本店所在地とすることが多いですが、違う場所を本店と定めることも可能です。たとえば、社長の自宅を本店としても問題はありません。

本店所在地は、登記や裁判管轄を定めるものとなるので重要です。なお、定款上は最小行政区画までの記載で足り、ビル名や部屋番号まで入れなければならないわけではありません。

物件によっては、会社の事業所として利用することを禁止しているところもあるので、管理規約や契約内容に違反していないことを確認しましょう。

資本金

資本金とは、会社を運営していくにあたって、とりあえず会社に入れておくお金で、会社を設立する際には現金で用意する必要があります。

昔は、最低資本金制度というものがあり、株式会社は1,000万円、有限会社は300万円の資本金が最低限必要でしたが、現在では最低資本金は撤廃され、資本金は1円以上あれば良いとされています。

資本金をいくらにすべきかという基準はありませんが、資本金1円の会社の場合、信用面で支障があるでしょう。後々、法人用の銀行口座を開設する際にも、金融機関からペーパーカンパニーではないかと疑われ、口座開設の審査が通りにくくなる可能性もあります。

以前あった有限会社は300万円以上の資本金が必要であったことから、300万円以上が対外的な信用の目安と言えるのではと思います。

なお、建設業など行政の許可を必要とする事業を営む予定がある場合は、資本金の額が許可条件として定められていることがあるので注意が必要です。

会社を登記する際には、個人の印鑑証明書が必要になります。会社の出資者および代表者となる役員のものが必要ですが、念のため、関係者全員分用意しておくのがよいでしょう。

また、会社の代表者は会社の印鑑を法務局に届け出る必要があるので、印鑑を用意します。法務局に届出をした印鑑が会社の実印になります。その他にも、銀行印、社印(角印)、横判など必要に応じて準備しておきます。

会社設立日は、定款認証の時点で決定している必要はありませんが、早いうちに検討しておきます。

会社の設立登記を申請した日が、会社設立日になります。登記が完了した日ではありません。会社設立日に設定できるのは、法務局が営業している日のみであり、土日祝日や年末年始など法務局が営業していない日に設定することはできません。

また、設立日を「1日」にすると、その月まるまる1カ月とみなされ、税金が1か月分余計にかかるので、「1日」を設立日にするのはおすすめはしません。

発起人(出資者)は、会社を運営していくうえでの基本的規則を記した定款を作成して、公証役場で定款の認証を受ける必要があります。

事業によっては、監督官庁などの許可を得て初めて営業できるものもあります。許可自体は会社設立登記後に手続きをするものがほとんどですが、その許可を取得するためには、定款にその事業を行うということが記載されている必要があります。

定款に記載された会社の目的や事業内容はそのまま登記され、内容を変更する場合は、目的変更の登記や更正登記などを行う必要があり、手間や費用が再度発生することになりますので、間違いがないように、よく検討しながら作成しましょう。

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定款認証の際は、出資者(発起人)の3ヶ月以内に発行された印鑑証明書と認証してもらう定款を持参します。定款は、公証役場保管用、原本用、謄本用の3通を用意していきます。

公証役場の管轄

本店を置こうとしている所在地を管轄する都道府県内の公証役場が管轄になります。たとえば、東京都内に本店を置く場合は、東京都内の公証役場であればどこでもかまいません。

電子定款での定款認証

定款を書面で作成するのではなく、電子データで作成したものが電子定款です。電子データは印紙税の対象外なので、電子定款にすると印紙代4万円を節約することができます。

公証役場での新しい定款認証の取り組み

小規模でシンプルな起業を支援するための取り組みとして、定款を作成するためのツールと操作マニュアルが無料で公開されていたり、公証役場を訪問することなくウェブ会議によって定款認証を得ることができるようになるなど、便利な環境が整えられてきています。

利用方法など詳しい内容は、日本公証人連合会のホームページをご覧下さい。

定款認証が完了したら、資本金の払い込みをおこないます。現金での払い込みが原則ですが、車や不動産などの現物で出資するという方法もあります。ただし、現物出資の場合は、定款にそのように記載しておく必要があるので、定款に記載していないのであれば現金での払い込みとなります。

登記の手続きの際には、資本金の払い込みを行なったことを証明する書面を提出する必要があります。資本金分の残高が口座にあることを示したとしても、払い込みの証明にはなりません。

資本金を口座に振り込んだら、通帳のコピーをとって、払込証明書を作成します。最近では通帳のない口座もありますが、その場合は、オンライン口座の画面をコピーして提出します。入金の記録がわかる部分が記載されていることが必要です。

現物出資の方法

現物出資をおこなう場合は、その旨を定款に記載しておく必要があります。定款認証を受けたら、現物を引き渡すことで出資を履行します。現物出資の対象となる資産としては、次のようなものがあります。

  • 車(ローン支払中のものは事実上不可)
  • パソコンやOA機器などの機械類
  • 有価証券
  • ゴルフ会員権やリゾート会員権
  • 不動産 など

預合いと見せ金

預合い

預合い(あずけあい)とは、発起人が払込取扱機関(A銀行)から資金を借り、その金を株式の払込金として同じA銀行に払い込むが、発起人が借入金を返済するまでは、払い込んだ金を引き出せないことを銀行と約束する行為のことです。

預合いは、銀行の帳簿上の操作のみで行なわれる行為であって、実際に金銭の移動はありません。この仮装の払込みは無効と解され、発起人等は5年以下の懲役または500万円以下の罰金、またはその両方が科されます。

見せ金

見せ金とは、発起人等が払込取扱銀行(A銀行)以外のところから借りてきた資金を株式の払込金としてA銀行に払い込み、会社が成立した後に、会社がそれを引き出して借入金の返済に充てることをいいます。最高裁は、見せ金による払い込みは無効とする立場です。

株式会社の設立の登記は、その本店の所在地において、設立時取締役等の調査が終了した日または発起人が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内にしなければなりません。

会社設立の登記は、登記申請書を作成し、それを法律で定められた必要書類と一緒に申請をします。申請の方法は、直接管轄の法務局の登記申請の受付窓口に持参する方法や、郵送による方法、オンライン申請による方法があります。

登記されたことの証明として、会社登記簿謄本(登記事項証明書)が発行されます。

会社の設立登記が完了したら、法務局で「印鑑カード交付申請」を済ませておきます。

印鑑カードとは、法人の印鑑証明書を発行する際に必要になるものです。印鑑カードの交付手続きは、本店所在地を管轄する登記所で行なうことができます。