遺言書|家庭裁判所による遺言書の検認

遺言書の保管者又はこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出し、その「検認」を請求しなければなりません。発見した遺言書を勝手に開封してはいけませんし、遺言書の存在を秘密にして破棄したり、隠したりしてもいけません。

遺言書の検認とは

検認とは、家庭裁判所によって行われる以下の手続きです。遺言書が有効か無効かを判断する手続きではありませんので注意して下さい。

  • 相続人に対して、遺言書が存在していることと、遺言の内容を知らせる。
  • 遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止する。

検認が必要な遺言書

主な遺言書として、「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3種類があります。これらの遺言書について、検認の要否は下表のようになります。

自宅等で保管されている自筆証書遺言と秘密証書遺言は検認が必要であり、公証役場で保管される公正証書遺言と、法務局で保管される自筆証書遺言は、内容の偽造・変造のおそれがないため検認の必要はありません。

自筆証書遺言を法務局で保管する制度については、以下の記事をご参考ください。
関連記事:遺言書の基礎知識

遺言書の種類検認の要否
自筆証書遺言(自宅等で保管されている遺言書)必要
自筆証書遺言(「自筆証書遺言書保管制度」を利用して法務局で保管されている遺言書)不要
公正証書遺言不要
秘密証書遺言必要
<検認が必要な遺言書の種類>

検認をしない場合

検認が必要な遺言書は、検認を経るまで、不動産の名義変更や預貯金の解約などの相続手続に使用できません。つまり、検認が済むまでは遺言書を使った相続手続きを進めることができないということです。

また、遺言書があることを知りながら検認をせず、その遺言書の存在を明かさずに破棄したり、隠匿した者は、相続人の欠格事由に該当し、相続人となることができません(民法第891条)。

検認の前に遺言書を開封した場合

民法第1005条の規定により、検認の前に遺言書を開封してしまった場合、5万円以下の過料に科されるとされています。遺言書を見つけたら、速やかに家庭裁判所に検認の申立を行うようにして下さい。

検認の流れ

検認は以下のような流れで行われます。家庭裁判所に検認の申立をしてから手続が完了するまで、おおよそ1カ月ほどかかります。

1.検認の申立
遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人が、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に検認の申立てをおこなう。
2.相続人への検認期日の通知
家庭裁判所から相続人に対して検認期日(検認を行う日)の通知が行われる。申立人以外の相続人が検認期日に出席するかどうかは各人の判断に任されており、全員が揃わなくても検認は行われる。
3.遺言書の開封・検認
検認期日には、申立人が遺言書を提出し、出席した相続人等の立ち会いのもと、裁判官が遺言書を開封し、検認する。
4.検認済証明書の申請
検認の完了後、遺言執行に必要となる検認済証明書の申請をする。この検認済証明書が添付された遺言書を用いて、不動産の名義変更や預貯金の解約などの相続手続を行う。