任意後見開始までの手続きの流れ

任意後見制度を利用したい場合は、公正証書で任意後見契約書を作成しておき、将来、本人の判断能力が低下したときに、家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てを行う必要があります。

各地域の家庭裁判所によって多少異なりますが、一般的な手続きの流れをお伝えします。

まず、本人の判断能力が衰えたときに、誰にどんな支援をしてもらいたいのか、本人の希望をまとめます。

その後、任意後見人になってくれる人(後見が開始する前は「任意後見受任者」という)と、後見人に依頼する内容、代理権の設定、後見人に支払う報酬などについて話し合います。

本人と任意後見受任者が一緒に公証役場へ行く日を決めて予約を入れます。公証役場で契約内容の具体的な相談をして、公正証書による任意後見契約を結びます。

基本的には公証役場で契約しますが、本人の事情で公証役場へ行けない場合は、出張料(日当・交通費等)が別途発生しますが、本人の自宅や施設・病院などへの公証人の出張も可能です。

契約が締結されると、公証人の嘱託でその契約内容が法務局で登記されます。登記された内容は、法務局で取得できる後見登記事項証明書で確認することができます。

本人の判断能力が低下したときには、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に、任意後見人の業務を監督する任意後見監督人の選任申立てを行ないます。家庭裁判所が調査、審問などを行い、任意後見監督人を選任します。

申立てができる人

申立てができる人は、本人、配偶者、4親等以内の親族、任意後見受任者に限られています。

申立てに必要な書類

申立てには主に次の書類が必要になります。具体的な必要書類は、申立てを行なう家庭裁判所に確認するようにします。

  • 申立書
  • 戸籍謄本(申立人、本人、任意後見受任者、任意後見監督人候補者)
  • 住民票(申立人、本人、任意後見受任者、任意後見監督人候補者)
  • 診断書(本人)
  • 手数料
  • 財産目録

    など

申立費用

申立費用は原則として申立人の負担となります。

審判書受領から2週間(不服申立期間)を経過すると、審判が確定し、東京法務局に備える登記ファイルに任意後見契約についての所要の登記事項が記録されます。

この登記事項証明書の交付を請求できる者としては、代理権等の公示の要請とプライバシー保護の要請と調査の観点から、「本人、成年後見人等、成年後見監督人等、任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人その他一定の者」に限定されています。

登記が完了すると、裁判所から任意後見人・任意後見監督人に通知書が送付されるので、任意後見人は任意後見監督人の指示に従い、財産目録等を作成します。