相続|相続土地国庫帰属制度の申請手続き

国庫帰属までの流れ

1.法務局への事前相談
予約することにより具体的な相談ができる。所在する土地を管轄する法務局(本局)に予約をし、事前相談する。
2.申請書類の作成・提出
審査手数料分の収入印紙を貼り付けた申請書を作成し、所在する土地を管轄する法務局(本局)に提出する。
3.法務大臣(法務局)による要件審査(書面・実地調査)
法務大臣(法務局)において、書面審査と実地調査が行われる。
4.法務大臣による承認
審査後、帰属の承認・不承認の判断の結果が申請者に通知される。
5.負担金の納付
帰属が承認された場合、通知に記載されている負担金額を期限内(負担金の通知が到達した翌日から30日以内)に日本銀行へ納付する。
6.国庫帰属
申請者が負担金を納付した時点で土地の所有権は国に移転する。所有権移転登記は国が行い、国庫に帰属した土地は国が管理・処分を行う。

法務局への事前相談

申請の前に、土地の所在を管轄する法務局の本局に予約の上、事前相談します。相談の際には、以下のような国庫帰属を希望する土地の状況等がわかる資料や写真を可能な限り持参します。

持参する資料の具体例

  • 登記事項証明書または登記簿謄本
  • 法務局で取得した地図または公図
  • 法務局で取得した地積測量図
  • その他土地の測量図面
  • 土地の現況・全体がわかる画像または写真

事前相談では、法務局担当者の方が、相続土地国庫帰属制度の概要等の説明及び帰属制度以外に採り得る手段(関係機関による寄附受け、相続放棄などの他の制度活用等)を紹介するなどし、相続土地にかかる問題解決のための助言をしてくれます。

注意点

事前相談における法務局担当者の見解は、相談者が持参した資料等の範囲内で担当者自身の見解を述べているものであり、承認の可否を保証するものではありません。承認申請後の実際の審査においては、関係機関から提供される資料の確認や実地調査を行った上で判断することとなるため、相談における担当者の見解と異なる結果になる可能性があることを理解しておく必要があります。

申請方法

申請先は、土地の所在を管轄する法務局・地方法務局の本局にある国庫帰属申請窓口です。申請の際は、申請者本人又は法定代理人(未成年後見人・成年後見人等)が来庁(使者による提出でも可)し、または郵送により行う必要があります。

将来的にはオンライン申請も可能になるかもしれませんが、まだ制度が始まったばかり(令和5年4月27日から運用開始)で利用件数の想定が難しいことから、しばらくは書面申請とされています。

郵送申請の場合

郵送申請の場合は、国庫帰属の申請書が入っていることを記した書留郵便(封筒と切手を自分で用意する)かレターパックプラスに申請書と添付書類等を入れて、土地の所在する法務局の本局へ送付します。

申請の代理について

手続代理が認められるのは、法定代理人(未成年後見人、成年後見人等)に限られており、任意代理による申請は認められていません。

審査手数料

審査手数料は、土地一筆当たり14,000円です。申請時に、申請書に審査手数料の額に相当する額の収入印紙を貼って納付します。

注意点

手数料の納付後は、申請を取り下げた場合や、審査の結果、却下・不承認となった場合でも、手数料は返還されません。

申請書類の作成・提出

作成した書類は、相談予約を取り、提出前に法務局に確認してもらうことが望ましいとされています。問題なさそうであれば、審査手数料の額に相当する収入印紙を貼り、法務局に提出します。

申請書類の作成者

申請書及び添付書類は自分で作成する必要があります。または、申請者本人の代わりに申請書を作成することが認められている弁護士、司法書士、行政書士に依頼をし、作成してもらう方法もあります。

申請に必要な書類

申請に必要な書類

  1. 申請書
  2. 申請にかかる土地の位置及び範囲を明らかにする図面
  3. 申請にかかる土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真
  4. 申請にかかる土地の形状を明らかにする写真
  5. 申請者の印鑑証明書
  6. 固定資産税評価証明書(任意)
  7. 申請土地の境界等に関する資料(あれば)
  8. 申請土地にたどり着くことが難しい場合は現地案内図(任意)
  9. その他相談時に提出を求められた資料

申請にかかる土地の位置及び範囲を明らかにする図面

具体的には、登記所備付地図等や、国土地理院が公開している地理院地図などに、申請者が認識している土地の位置及び範囲を示したものが必要となります。申請者は、自身が認識する「所有権界」による土地の範囲を示せば足り、隣接地との境界について復元測量等を実施することまでは求められていません。

申請にかかる土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真

具体的には、各境界点を示すもの(境界標、ブロック塀又は道路のへり等の地物、簡易な目印等をいい、審査時及び国庫帰属時において確認可能なものであること)を明確に撮影した写真であって、上記「申請にかかる土地の位置及び範囲を明らかにする図面」におけるそれらの位置関係を明らかにしたものが必要となります。

境界点を示すものについては、申請後の管轄法務局における審査時及び国庫帰属時において現地の確認が可能なものである必要がありますが、境界標が存在しない場合に、隣地と境界を確定し、測量に基づく恒久性のある境界標を埋設することまでは求められていません。

申請にかかる土地の形状を明らかにする写真

具体的には、申請土地の全景及び近景を撮影した写真であって、上記「申請にかかる土地の位置及び範囲を明らかにする図面」におけるそれらの位置関係を明らかにしたものが必要とされます。ただし、申請土地が広大であり、全景を1枚の写真で明らかにすることが困難である場合には、航空写真や全体の関係を明らかにした複数枚の写真によることでOKとされています。

その他必要となる場合がある資料

(1)土地の取得原因が「相続人に対する遺贈」であることが登記記録上で判断できない場合

申請土地の所有権の登記名義人ではあるが、登記原因が遺贈であり、相続人に対する遺贈かを登記記録上で判断することができない場合や所有権の保存の登記のみである場合には、登記記録のみでは相続等により申請土地の所有権又は共有持分を取得した者であることを確認することができないので、当該者であることを証する書面の添付が必要です。

(2)氏名又は名称及び住所の情報が申請書と登記記録で合致していない場合

承認申請者が承認申請書に記載した氏名又は名称及び住所と、登記記録上の氏名又は名称及び住所が合致しない場合には、同一人であることを証する書面の添付が必要です。この書面は、登記名義人の氏名若しくは名称又は住所に変更や誤りがあったことを当該書面において確認することができる必要があり、具体的には、戸籍事項証明書、住民票の写しや戸籍の附票の写しなどが挙げられます。

(3)法定代理人が申請を行う場合

法定代理人が承認申請を行う場合に、当該代理人の地位を証する書面の添付が必要です。具体的には、未成年者の親権者については戸籍事項証明書等が、成年被後見人の成年後見人については成年後見登記事項証明書又は審判書謄本等が挙げられます。また、不在者財産管理人又は相続財産管理人については、裁判所による選任を証する決定書謄本等及び裁判所の許可を証する決定書謄本等が挙げられます。

(4)申請者が未成年の場合

承認申請者が未成年である場合において、当該者の法定代理人が承認申請書に記名押印をし、当該印鑑にかかる印鑑証明書を添付したときは、承認申請者本人が記名押印をする必要はなく、本人の印鑑証明書の添付も必要ありません。また、印鑑の登録をしている未成年者が自ら承認申請書に記名押印し、当該印鑑にかかる印鑑証明書を添付した場合には、その印影を照合するほか、法定代理人の同意を証する書面及び法定代理人の印鑑証明書も併せて添付します。これにより承認申請の意思が確認されます。

(5)申請者に法人が含まれる場合

承認申請者に法人が含まれる場合、当該法人の代表者であることを証する書面の添付が必要です。具体的には、当該法人の登記事項証明書や代表者資格証明書が挙げられます。なお、当該法人にかかる会社法人等番号が承認申請書に記載されている場合で、管轄法務局担当者が法第七条の規定に基づき取得した当該法人の登記事項証明書により法人の代表者であることを確認できるときには、当該書面の添付は不要となります。

(6)申請者が登記記録上の登記名義人と一致していない場合

承認申請者が相続等により申請土地の所有権又は共有持分を取得した者である場合において、登記記録上の登記名義人と一致していないとき(相続を原因とする所有権の移転の登記を行っておらず、登記記録上同一人であることを確認することができない場合等)に、承認申請者が当該者であることを証する書面の添付が必要です。具体的には、承認申請者が登記名義人の相続人であることを示す戸籍事項証明書や法定相続情報一覧図の写し、遺産分割協議書(押印及び当該印影にかかる印鑑証明書の添付)、登記名義人から承認申請者に申請土地を遺贈する旨が記載された遺言書、相続人である承認申請者の住所又は氏名を示す住民票の写しや戸籍の附票の写し等が挙げられます。

(7)申請土地が相続登記されていない場合

相続登記によって申請者が所有権登記名義人になっている場合は、申請書に相続人であることを証する書面を添付する必要はありません。相続登記されていない場合でも申請はできますが、申請書に相続人であることを証する書面を添付する必要があります。

申請後の注意点

1.申請後の連絡先

  • 申請書の提出後に、申請書の内容確認や、現地調査についての案内を行うため、申請者本人(又は申請書に記載された、申請土地の事情をよく知る者)の連絡先宛てに、電話連絡等により、内容についての連絡がくることがあります。
  • (長期旅行、入院等で)申請書に記載された連絡先に連絡がつかないときには、審査手続を進めることができない場合や申請が却下される場合があります。この場合においても、審査手数料は返還されません。
  • 申請後に転居、長期不在等で連絡先(住所、滞在先等)が変更となった場合には、管轄法務局に連絡が必要です。別途、書類等の追加提出が必要となる場合があります。

2.添付書類の原本還付

  • 提出した添付書類については、法務局の審査完了後に返却してもらうことができます。添付書類の返却を希望する場合、原本と相違ない旨を記載した謄本を原本と一緒に提出する必要があります。ただし、印鑑証明書等については返却することができません。

3.申請後に申請者が死亡した場合

  • 申請後、審査が完了するまでに申請者の方が亡くなった場合、土地を相続(相続人への遺贈を含む)した方は、相続等があった日から60日以内に、申請先の法務局にその旨を申し出ることで、申請手続を継続することができます。
  • 申出には、申出書に相続等があったことを証する書面を添付します。申出がなかった場合、申請は却下されます(法第四条第一項第一号)。

法務大臣(法務局)による要件審査・承認

審査期間

申請から承認までの標準処理期間は半年~1年程度と想定されています。ただし、積雪等の理由により現地調査の実施が遅れた場合など、標準処理期間を超える場合もあります。

本制度はまだ運用開始されたばかりで、取扱件数もどのくらいになるかわからないことや、地方公共団体からの資料提供や実地調査などにも一定の時間が必要と考え、現状は半年~1年程度の審査期間とされています。

実地調査

実地調査は、1回かつ1日以内での実施を原則とされていますが、申請した土地が広大な土地である場合や調査に時間を要する特別な事情がある場合には、複数回や複数日での実地調査が行われる場合もあります。

実地調査においては、原則として申請者の同行は求められませんが、申請者の同行がなければ申請した土地に到達することが困難と認められる場合は、実地調査に申請者等又は申請者等が指定する者の同行が求められます。また、以下のような場合にも、同行を求められることがあります。

  • 添付書類に示された申請土地の所在位置に疑義がある場合
  • 添付書類に示された申請土地の境界(所有権の範囲)に疑義がある場合
  • その他申請者の認識を現地で確認する必要がある場合

なお、申請者が正当な理由がないにもかかわらず同行に応じない場合には、法第四条第一項第三号の規定により承認申請は却下するとされています。

国の行政機関・地方公共団体への情報提供

承認申請の受付後、申請土地の寄附受けや他の制度の活用の可能性について確認することを目的として、申請者の同意のもと、国の行政機関及び申請土地が所在する地方公共団体に対し、申請土地に関する情報が提供されます。また、申請土地が所在する法務局等の管轄内にその他の情報提供が有益と考えられる団体が存在する場合には、当該機関に対しても情報が提供されます。寄附受け等の希望があった場合は、申請者と寄附受け等を希望する情報提供対象機関との間で直接行うものとされています。

負担金の納付

審査の結果、国が引き取ることができると判断した場合、帰属の承認の通知とともに、負担金の納付を求める通知が届きます。通知に記載されている負担金額を期限内(負担金の通知が到達した翌日から30日以内)に日本銀行に納付します。負担金が納付された時点で、土地の所有権は国に移転します。土地の所有権移転の登記は国が行うので、申請者が登記を申請する必要はありません。

負担金の納付方法

納入告知書に記載されている負担金額を期限内(負担金の通知が到達した翌日から30日以内)に、納入告知書を添えて日本銀行(本店、代理店、歳入代理店(※))へ納付します。申請者が共有者の場合は、代表者1人が納入告知書を受け取った上で、負担金を納付することになります。

※ 代理店、歳入代理店:歳入に係る国庫金を取扱う金融機関をいいます。(都市銀行、ゆうちょ銀行、信用金庫、信用組合、農協・漁協等)

注意点

  • 期限内に負担金が納付されない場合は、国庫帰属の承認が失効します。同じ土地について再度、国庫帰属を希望する場合は、最初から申請し直すことになります。
  • 法務局に直接現金を持参して負担金を支払うことはできません。

負担金の算出方法

負担金の額は一筆20万円が基準となるが、土地の種目や面積、土地が所在する地域に応じて、面積単位で負担金を算出する場合もあります。法務局の方の説明によると、基準となる20万円という金額は、簡単な見回りを年4回、10年間実施することを想定して算出した金額、ということです。

負担金の計算に用いる地積は、登記記録上の地積を基準とされます。現況の地積で負担金を計算したい場合は、地積更正又は地積変更の登記を申請前に自身で行うことにより、変更後の登記記録上の地積を基準とすることができます。

申請があった土地は、申請者から提出された書面の審査、関係機関からの資料収集、実地調査などによって、客観的事実に基づいて、「宅地」「農地」「森林」「その他」の4種類のうちどの区分に当てはまるか判断され、その区分に応じて負担金が決定されます。

土地の区分負担金の額
宅地原則、20万円(面積にかかわらず)

※都市計画法の市街化区域または用途地域が指定されている地域内の宅地の場合、面積に応じて算出されます。
(計算例:100m2の場合、負担金は約55万円。200m2の場合、負担金は約80万円)
農地原則、20万円(面積にかかわらず)

※都市計画法の市街化区域または用途地域が指定されている地域内の農地または農用地区域等の農地の場合、面積に応じて算出されます。
(計算例:500m2の場合、負担金は約72万円。1000m2の場合、負担金は約113万円)
森林面積に応じて算出
(計算例:1500m2の場合、負担金は約27万円。3000m2の場合、負担金は約30万円)
その他
(雑種地、原野等)
20万円(面積にかかわらず)
<土地の区分に応じた負担金の算出方法>

合算負担金の申出

隣接する二筆以上の土地のいずれもが同一の土地区分である場合、申出をすることで、それらを一筆の土地とみなして負担金を算定することができます。この申出は、すでに国庫帰属の申請をしている隣接土地の所有者同士(申請者が異なる場合でも可)が、共同して行う必要があります。

合算可能な計算例申出前の負担金申出後の負担金差額
宅地A(100m2) + 宅地B(200m2)
(いずれも市街化区域内の宅地)
宅地A(100m2)=548,000円
宅地B(200m2)=793,000円
∴合計=1,341,000円
宅地AB(300m2)=1,018,000円323,000円の負担軽減
田(100m2) + 畑(200m2)
(農用地区域の田・畑)
田(100m2)=329,000円
畑(200m2)=450,000円
∴合計=779,000円
田畑(300m2)=553,000円226,000円の負担軽減
<合算負担金の申出による負担金の計算例>

注意点

隣接している土地でも、宅地と農地など土地区分が異なる場合、それぞれの土地を管理する管理庁が異なるので、面積の合算はできず、負担金は別々に算出されることになります。

国庫帰属

申請者が負担金を納付した時点で、土地の所有権は国に移転します。所有権移転登記は国が実施し、国庫に帰属した土地は国が管理・処分を行います。管理者は土地の用途によって決められており、農地・森林等なら農林水産大臣、それ以外は財務大臣が管理・処分を行うことになります。

承認の取消し

法務大臣は、承認申請者が偽りその他不正の手段により、土地の所有権の国庫への帰属の承認を受けたことが判明したときは、その承認を取り消すことができるとされています(法第十三条第一項)。この「偽りその他不正の手段」とは、承認申請者が故意をもって行う不正行為の一切をいい、以下のような場合が想定されています。

(1)虚偽の記載事項を承認申請書に記載し、却下要件又は不承認要件に該当していないかのように装い、その結果、法務大臣又は法務局長等を錯誤に陥れることによって法務大臣又は法務局長等による承認を受けた場合

(2)偽造された添付書類を提出し、法務大臣又は法務局長等による承認を受けた場合

(3)申請土地が却下要件に該当すること又は不承認要件に該当することを認していたにもかかわらず、その事実を秘匿したまま法務大臣又は法務局長等による承認を受けた場合

以上のような不正行為により承認を取り消された場合であっても、負担金は返還されません。また、損害が生じた場合には、損害賠償の責任を負う場合もあります。

損害賠償

国庫帰属地が承認時に却下要件(法第二条第三項各号)又は不承認要件(第五条第一項各号)のいずれかに該当する事由があったことによって国に損害が生じた場合において、承認申請者が却下事由又は不承認事由を知りながらその点を明らかにせずに国庫帰属の承認を受けた者であるときは、その者は、国に対して損害賠償責任を負うものとされています(法第十四条)。