貿易|輸入した医薬品を市場に出荷するために必要な許可等

医薬品等の製造、輸入を業として行う場合には、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に基づく許可等が必要になります。

医薬品の製造販売を業として行うには「医薬品製造販売業許可」を受ける必要があります。

ただし、「医薬品製造販売業許可」では医薬品を製造(包装・表示・保管を含む)することはできないので、製造する場合は「医薬品製造業許可」を受けた製造所で製造する必要があります。

さらに、許可とは別に、品目ごとに厚生労働大臣の承認を取得することで製造販売を行うことができます。

まず、「医薬品」とはどのようなものかというと、法律に次のように定義されています。

  • 日本薬局方(医薬品の性状及び品質の適正を図るため、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定めた医薬品の規格基準書)に収められている物
  • 人・動物の疾病の診断、治療、予防に使用することを目的とする製品(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品、プログラム、記録媒体、医薬部外品、再生医療等製品を除く)
  • 人・動物の身体の構造、機能に影響を及ぼすことを目的とする製品(機械器具等、医薬部外品、化粧品、再生医療等製品を除く)

医薬品の製造、製造販売、輸入等を行う場合に必要になる許可は下表のとおりです。いずれの場合であっても、品目ごとに医薬品に係る製造販売承認が必要になります。

行なう工程必要となる許可
国内の自社工場で一貫して製造し、市場へ出荷する場合・医薬品製造業許可(一般区分)
・医薬品製造販売業許可
自社工場から市場へは自ら出荷せずに、一貫製造もしくは包装・表示・保管を行なう場合・【一貫製造の場合】医薬品製造業許可(一般区分)
・【包装・表示・保管のみを行なう場合】医薬品製造業許可(包装・表示・保管区分)
輸入した医薬品について保管、日本語表示等を行ない、市場へ出荷する場合・医薬品製造販売業許可
・医薬品製造業許可(包装・表示・保管区分)
・自ら製造は行なわず、市場への出荷のみを行なう場合
・輸入した医薬品について市場への出荷のみを行なう場合
・医薬品製造販売業許可

医薬品製造販売承認とは

医薬品を製造販売しようとする者は、品目ごとに、その製造販売について厚生労働大臣の承認を受けなければなりません。承認とは、製造販売される製品が品質、有効性及び安全性等の観点から、医薬品として適当であるか否かで判断されるものです。

医薬品の製造販売承認申請は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構で審査が行なわれます。なお、一部の品目については、規定の承認基準の範囲内に該当している場合は、都道府県知事にて承認されます。

製造または輸入した医薬品等を国内市場に出荷するためには、「医薬品製造販売業許可」を取得しなければなりません。製造販売業は市場にある製品に対して最も重い責任を負う業者であり、製品の品質管理及び市販後の製品についての安全管理を行う能力が求められます。

医薬品製造販売業の許可の種類

取り扱う医薬品の品目に応じた種類の製造販売業許可を取得する必要があります。下表の両方の品目を取り扱う場合は、第一種および第二種の両方の製造販売業許可を取得する必要があります。

医薬品の種類許可の種類
法第49条第1項に規定する厚生労働大臣の指定する医薬品(いわゆる処方せん医薬品)を取り扱う場合第一種医薬品製造販売業許可
上記に該当する医薬品以外の医薬品を取り扱う場合第二種医薬品製造販売業許可

許可の要件

医薬品製造販売業の許可を受けるためには、以下のすべてを満たすことが必要です。

  • 品質管理の方法が、「医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令」で定める基準に適合していること
  • 製造販売後の安全管理の方法が、「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令」で定める基準に適合していること
  • 申請者(法人の場合はその業務を行なう役員を含む)が欠格条項に該当しないこと
  • 総括製造販売責任者を設置すること

欠格条項

欠格条項は、法第5条に次のように定められており、1つでも該当する場合は許可を受けることができません。

  • 法第75条第1項の規定により許可を取り消され、取消しの日から3年を経過していない者
  • 法第75条の2第1項の規定により登録を取り消され、取消しの日から3年を経過していない者
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった後、3年を経過していない者
  • 上記①~③に該当する者を除くほか、この法律、麻薬及び向精神薬取締法、毒物及び劇物取締法その他薬事に関する法令またはこれに基づく処分に違反し、その違反行為があった日から2年を経過していない者
  • 成年被後見人または麻薬、大麻、あへん若しくは覚醒剤の中毒者
  • 心身の障害により医療機器の業務を適正に行なうことができない者として厚生労働省令で定める者

許可の有効期間

医薬品製造販売業の許可は、5年ごとに許可の更新を受ける必要があります。

なお、薬局製造販売医薬品(薬局開設者が薬局における設備・器具を使って製造したものを、その薬局で直接消費者に販売・授与する医薬品(体外診断用医薬品を除く)で、厚生労働大臣の指定する有効成分以外の有効成分を含有しないもの)の製造販売に係る許可の有効期間は6年とされています。

医薬品を製造するためには、医薬品製造業許可を取得しなければなりません。

製造には、包装、表示、保管行為も含まれますので、たとえば、市場出荷前の製品について保管のみ行う場合や、輸入された医薬品に対して必要な日本語表示を行う場合であっても、製造業許可(この場合は包装・表示・保管区分)を取得しなければなりません。

製造業者は、製造販売業者の管理監督の下、適切な品質管理を行い製品を製造します。なお、製造業は製造に特化した許可となっており、製造業の許可のみでは、製品を市場に出荷することはできません。

許可の要件

医薬品製造業の許可を受けるためには、以下のすべてを満たすことが必要です。

  • 製造所の構造設備が、薬局等構造設備規則に適合していること
  • 申請者(法人の場合はその業務を行なう役員を含む)が欠格条項に該当しないこと
  • 製造管理者設を設置すること
  • GMPが適用される医薬品については、「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」に適合していること
    • ※GMP(Good Manufacturing Practice)とは医薬品を製造するための要件をまとめたもの。

欠格条項

欠格条項は、法第5条に次のように定められており、1つでも該当する場合は許可を受けることができません。

  • 法第75条第1項の規定により許可を取り消され、取消しの日から3年を経過していない者
  • 法第75条の2第1項の規定により登録を取り消され、取消しの日から3年を経過していない者
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった後、3年を経過していない者
  • 上記①~③に該当する者を除くほか、この法律、麻薬及び向精神薬取締法、毒物及び劇物取締法その他薬事に関する法令またはこれに基づく処分に違反し、その違反行為があった日から2年を経過していない者
  • 成年被後見人または麻薬、大麻、あへん若しくは覚醒剤の中毒者
  • 心身の障害により医療機器の業務を適正に行なうことができない者として厚生労働省令で定める者

許可の有効期間

医薬品製造業の許可は、5年ごとに許可の更新を受ける必要があります。なお、薬局製造販売医薬品の製造に係る許可の有効期間は6年とされています。

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