障害福祉サービス事業者等の指定申請

障害福祉サービスを提供する事業者となるためには、サービス事業者としての要件を満たしたうえで、都道府県知事(または政令指定都市や中核市)の指定を受けなければなりません。指定を受けた事業者は、6年ごとに更新の手続きをすることも必要です。

障害福祉サービス等を提供する事業者は、自治体の指定を受ける必要があります。この指定は、以下の3つを要件として、「サービスの種類ごと」「事業所ごと」に行われます。

  • 法人格を有すること
  • 指定基準(人員基準、設備基準)を満たすこと
  • 運営基準に従って適正に運営ができること

上記の基準に加えて、条例に独自の基準を定めている自治体もあります。

これらすべての要件を満たしたうえで、指定申請書類などの必要書類を準備し、都道府県知事等に申請します。審査の結果、問題ないと判断されれば指定を受けることができます。

指定基準

指定基準は、利用者への支援を適切に実施するために必要な最低限度の基準を定めており、事業者が指定を受けた以降も遵守する必要があるものです。「人員」「設備」「運営」の3つの視点から、障害福祉サービスの種類ごとに定められています。

①人員基準

人員基準では、従業者の知識、技能、人員配置等に関する基準を、サービスの種類ごとに定めています。指定申請の段階で、サービスの種類と事業所の規模に応じた人員の確保あるいは具体的な確保の予定が必要になります。

特に、サービス提供責任者、サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者などの、要件(実務経験・保有資格・研修修了)の厳しい人員は確保が容易ではないため注意が必要です。

②設備基準

設備基準は、事業所に必要な設備等に関する基準を定めています。特に、通所系 ・入所系の事業の場合は、訓練・作業室や指導訓練室、居室といった設備が必要になります。指定権者によっては、条例に独自の基準を設けている場合もあります。
また、設備等は、都市計画法、建築基準法、消防法、条例等に適合していなければなりません。指定申請時には、検査済証や防火対象物使用開始届の提出を求められる場合もあります。
不動産の契約など物件を確定させる前に、必ず図面を持参して、申請先に事前相談をしておくことが必要です。

③運営基準

運営基準は、サービスを提供するにあたって、事業所が留意すべき事項など、事業を実施する上で求められる運営上の基準を定めています。

最低基準

最低基準には、管理者の資格要件や定員規模など、自治体の指定を受けない場合であっても満たさなければいけない最低限のルールが定められています。障害福祉サービスのうち一部のサービスは、指定基準に加えて、この最低基準も満たす必要があります。

定款の事業目的

障害福祉サービス等の指定を受けるためには、定款の事業目的に、次のような各サービスに対応する目的や事業名の記載が必要になります。

  • 「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業」
  • 「児童福祉法に基づく障害児通所支援事業」
    など

上記のように規定されていない場合は、定款の改正が必要になります。

なお、就労継続支援A型事業を行う場合は、専ら社会福祉事業を行う法人でなければならないため、それ以外の目的が記載されていないことが要件となります。

既に設立している法人で障害福祉サービス事業等を行おうとする場合は、申請先との事前相談の段階で定款を持参して相談するようにしましょう。

新規指定申請の流れは、自治体によって多少異なりますが、概ね次のようになります。

事前相談

指定申請の前に、先ずは自治体に事前相談が必要です。指定希望日の○ヶ月前までに事前相談を済ませるようにという期限が自治体ごとに決められています。事業計画書や建物の平面図など、事前相談に必要な書類を作成・提出します。

物件を賃貸する場合や、施設・設備の整備等を要するものについては、物件契約前・着工前に必ず事前相談を済ませましょう。

建築基準法・消防法の手続等の完了

指定申請を行う際に、建築基準法や消防法の確認が必要な場合があります。担当部署に確認し、必要な場合は、自治体の指定する期限までに手続きを完了させておきます。

管理者等の事前面談

自治体によりますが、管理者等の事前面談がある場合があります。

申請

自治体の定める指定申請の提出期限までに申請します。

申請内容の審査

指定基準を満たしているかどうか具体的に審査されます。補正や追加資料の提出依頼がある場合もあります。

なお、指定を受ける前に人員配置などの申請内容に変更があった場合には、必ず窓口に連絡をしましょう。変更を申し出ないまま指定を受けた場合、指定取消の事由となる可能性があります。

また、申請後に、現地確認や面前での従業員の確認が必要な場合もあります。

指定

審査の結果、指定基準を満たしていること等が確認できた場合は、申請者宛てに指令書が郵送されます。

事業所は、指定を受けたその日から、指定申請の際に届け出た人員体制によって運営を開始しなければなりません。利用者の受け入れが無くとも、指定基準を満たす人員を配置し、賃金を支払う必要があります。事業が軌道に乗るまでの従業者の教育計画、給付費による収入が安定するまでの人件費等を準備しておく必要があります。

指定申請は、指定基準の要件をすべて満たした上で行うことが必要です。特に、人員基準については、申請前に十分な検討が必要です。指定を急ぐあまり、架空の名簿を提出して指定を受け、指定基準を満たす人員を配置しないまま運営を開始し、後日「不正の手段により指定を受けた」として指定の取り消しに至った事例があります。指定を取り消された事業者は、以降5年間は指定を受けることができなくなってしまいます。

また、一部のサービス(就労継続支援A型・B 型・生活介護・放課後等デイサービス・児童発達支援)については、総量規制をすることができる、と法律に定められています(障害者総合支援法第36条、児童福祉法第21条の5の15)。これにより、自治体によっては該当のサービスについて総量規制をし、指定申請を受け付けていない場合もありますので、事前に確認するようにしましょう。

指定を受けてから6年経過する場合、指定更新の手続きが必要になります。指定更新の要件は、新規指定時と同様となっており、指定基準を満たさない場合は更新できませんのでご注意ください。

審査の結果、指定基準を満たしていること等が確認できた場合は、申請者宛てに指令書が郵送されます。

行政書士しょうじ事務所は、障害福祉サービス等の指定申請をはじめとする行政手続きについてサポートをさせていただいております。お困りごとがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。