契約|基礎知識

契約とは約束や合意のことです。契約を締結したいという申し込みと、その申し込みに対する承諾という2つがなされることによって、有効に成立します。

普段なかなか意識はしませんが、私たちの生活のなかには、あらゆる場面で契約が関わってきます。たとえば、コンビニで品物を購入することやバスや電車に乗ることも、実は契約を締結したうえでの行為なのです。

契約は口頭でも成立しますが、後々のトラブル防止のために書面にして証拠化したものが契約書です。

契約はそもそも口頭でも成立するものなので、契約書の形式について法律で定められていません。契約の証拠となり得る書面であれば、契約書と評価できるということになります。

契約が成立する時期

申し込みに対する承諾がなされた時期が契約の成立時期です。

商談の途中は、金額や納期などさまざまな条件についてやりとりを重ねることになりますが、最終的に双方の意思が合致した時点が、契約の成立時期になります。

商法509条の適用

契約は、申し込みとそれに対する承諾がなければ成立しない、というのが原則です。

しかし、例外的に、承諾をするかしないかの返事をしないときは、承諾したものとみなされる場合があります。それが、以下の商法509条(契約の申し込みを受けた者の諾否通知義務)が適用される場合です。

第五百九条 商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたときは、遅滞なく、契約の申込みに対する諾否の通知を発しなければならない。
2 商人が前項の通知を発することを怠ったときは、その商人は、同項の契約の申込みを承諾したものとみなす。

この商法509条の定めにより、申し込みを承諾する意向をもっていない場合には、遅滞なく承諾しない旨の返事をする必要があります。何も返事をしない場合は、承諾したものとみなされて、契約が成立することになります。

なお、条文の中の「商人」とは、自己の名をもって商行為をすることを業とする者のことをいい、株式会社等の会社はすべて商人です。

電子契約

最近では、書面での契約書ではなく、電子契約(電磁的記録の形で契約を締結し、証拠とするしくみ)が多くの企業で用いられるようになっています。

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契約書の作成は、契約の成立・不成立だけではなく、契約の有効性とも無関係なのが原則です。ただし、例外的に、書面によらなければ契約の効力が発生しない契約が存在します。主に、次の契約は書面による契約が必要となる類型です。

保証契約誰かの保証人になるということに合意する契約
定期借地契約、事業用定期借地契約等不動産の賃貸借契約のうち、借地借家法が全面的に適用されることのない特別の契約
管轄合意契約当事者間の紛争について、どこの裁判所で審理するかという合意

契約自由の原則とは、日本における私法の一般原則の1つであり、その根拠は私的自治に求められます。広義の契約自由の原則には次の4つの原則が含まれます。

  • 契約締結の自由
  • 相手方選択の自由
  • 方式の自由
  • 契約内容の自由

私的自治とは、私人の権利の取得や義務の負担といった事柄は、私人の自由な意思に基づいて、自律的に決定することができるという原則です。

契約締結の自由

契約を締結するかしないかは、当事者が自由に決めることができます。

ただし例外もあり、たとえば、電気、ガス、水道などの公益的事業は、契約を拒否されると生活や生命に関わるため、それぞれの法律によって供給義務が課せられています。

相手方選択の自由

当事者は、契約をする相手方を自由に決めることができます。

方式の自由

契約を締結するにあたり、原則として、いかなる方法・方式で契約を締結することも自由とされています。したがって、契約は口頭でも成立しますし、書面を作成することは要件ではないということです。

契約内容の自由

契約を締結する場合に、どのような内容であったとしても、当事者が納得して合意することにより、その契約は有効なものとして認められるという原則です。

ただし、契約自由の原則にも限界があり、いくら当事者間にしか効力を有しない契約であっても、法律の条項に反する内容の契約の効力は認められないという法律の条項もあります。このような法律の条項は「強行規定」とよばれ、法律の条項どおりとなることが強行される規定、という意味です。

たとえば、民法90条は、法律行為が公の秩序、善良の風俗(合わせて「公序良俗」という)に反するときは、無効とすると定めています。したがって、暴力行為に該当する合意、賭博の清算金の支払約束、愛人契約に伴う金銭の支払約束、裏口入学の支度金の返還約束などの契約は公序良俗に違反することから無効となります。

行政書士しょうじ事務所では、契約書作成のお手伝いをさせていただいております。契約書の作成に関してお困りごとがありましたら、是非ご相談ください。

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