法人設立|NPO法人の設立手続
NPO法人を設立するためには、法律に定められた書類を添付した申請書を、所轄庁に提出し、設立の認証を受けることが必要です。
提出された書類の一部は、受理した日から2週間、公衆の縦覧に供され、縦覧期間の2週間が経過後、所轄庁が2ヶ月以内に認証または不認証の決定を行います。認証後、設立の登記をすることによりNPO法人が成立します。
NPO法人の認証基準
NPO法人となるためには、次のすべての基準に適合することが必要です。
- 設立の手続並びに申請書及び定款の内容が法令の規定に適合していること
- 特定非営利活動を行なうことを主たる目的とすること
- 営利を目的としないものであること
- 社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと
- 役員のうち、報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること
- 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする活動でないこと
- 政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とする活動でないこと
- 特定の公職者(候補者を含む)または政党を推薦、支持、反対することを目的とする活動でないこと
- 暴力団でないこと
- 暴力団又は暴力団の構成員等(構成員でなくなってから5年を経過しない者を含む)の統制の下にある団体でないこと
- 10人以上の社員がいること
特定非営利活動
特定非営利活動とは、不特定多数のものの利益の増進に貢献することを目的とする活動であり、次の20のいずれかに該当する活動のことをいいます。
- 保険、医療または福祉の増進を図る活動
- 社会教育の推進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 観光の振興を図る活動
- 農山漁村または中山間地域の振興を図る活動
- 学術、文化、芸術またはスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救助活動
- 地域安全活動
- 人権の擁護または平和の推進を図る活動
- 国際協力の活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- こどもの健全育成を図る活動
- 情報化社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発または雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動
- 前各号に掲げる活動を行なう団体の運営または活動に関する連絡、助言または援助の活動
- 前各号に掲げる活動に準ずる活動として、都道府県または指定都市の条例で定める活動
NPO法人の設立手続の流れ
NPO法人設立手続きの流れは次のようになります。
- 基本事項の決定
- 設立総会の開催
- 設立認証の申請(縦覧期間2週間)
- 所轄庁による審査(審査期間2ヶ月以内)
- 認証
- 設立登記(認証から2週間以内)
- 設立登記完了届出書の提出
基本事項の決定
設立者が集まってNPO法人の要件について確認し、定款、設立趣旨、事業計画、活動予算、設立代表者など、設立総会に諮る内容の案を作成します。申請書及び必要な添付書類の案もここで作成します。
設立総会の開催
設立総会では、法人設立の意思を決定し、設立認証申請のために必要な議決(定款、設立趣旨、事業計画、活動予算、設立代表者など)や、役員・代表者の選任などを行います。
設立認証の申請
以下の①~⑩の書類を添付した申請書を所轄庁に提出します。
NPO法人の所轄庁は、その主たる事務所の所在する都道府県の知事(その事務所が1つの指定都市の区域内のみに所在する場合は、その指定都市の長)となります。
- 定款
- 役員名簿(役員の氏名および住所または居所並びに各役員についての報酬の有無を記載した名簿)
- 役員の就任承諾及び誓約書の謄本
- 役員の住所又は居所を証する書面
- 社員のうち10人以上の氏名及び住所又は居所を示した書面
- 確認書
- 設立趣旨書
- 設立についての意思の決定を証する議事録(設立総会議事録)の謄本
- 設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書
- 設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書
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所轄庁は、上記①、②、⑦、⑨、⑩の書類(②については役員の住所又は居所に係る記載を除いたもの)を、受理した日から2週間、公衆の縦覧に供するとともに、申請があった旨および及び次に掲げる事項を、認証又は不認証の決定を行なうまでの間、インターネットの利用(広報への掲載でも可)により公表します。
- 申請のあった年月日
- 定款に記載された事項
- 役員名簿(役員の氏名及び住所又は居所並びに各役員についての報酬の有無を記載した名簿)に記載された事項(役員の住所又は居所に係る記載を除く)
- 設立趣旨書に記載された事項
- 設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書に記載された事項
- 設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書に記載された事項
所轄庁による審査
所轄庁は、縦覧期間の2週間経過後、2ヶ月以内(所轄庁の条例で2ヶ月より短い期間を定めている場合はその期間)に、認証または不認証の決定を行ないます。
法律が求める基準に適合しない場合等には、不認証の決定が行われ、その理由を付した書面をもって通知されます。不認証について異議がある場合は、行政不服審査法に基づく異議申し立てができます。
設立登記
認証の通知を受けた日から2週間以内に法務局で設立登記をすることによって法人として成立することになります。
設立の登記に当たって、設立時の財産目録を作成する必要があります。また、登記申請の際には、法人の印鑑登録を行なうことになるので、印鑑の準備も事前に済ませておきます。
登記完了後は、所轄庁に提出する「設立登記完了届出書」の添付書類として必要になる「登記事項証明書」を忘れずに取得しておきます。
なお、設立の認証を受けたにも関わらず、認証日から6ヶ月を経過しても登記しない場合、所轄庁は設立認証を取り消すことができます。
設立登記完了届出書の提出
設立登記により法人として成立した後は、遅滞なく、登記をしたことを証する登記事項証明書及びNPO法人成立時に作成した財産目録を添えて、所轄庁に届出をしなければなりません。
法人設立後に必要な届出等
NPO法人は、事業報告書等の提出が義務づけられています。また、役員が新しく就任した場合などには、役員変更届出書の提出が必要になります。
事由 | 提出書類 | 提出時期 |
---|---|---|
1事業年度が終わったとき | ・事業報告書 ・活動計算書 ・貸借対照表 ・財産目録 ・前事業年度末日における社員のうち10人以上のものの名簿 | 事業年度終了後3ヶ月以内 |
・役員に変更があったとき(就任、退任、死亡など) ・役員を再任したとき(メンバーに変更がなくても) | ・役員変更届出書 ・役員名簿 (就任の場合は、住民票謄本、就任承諾書写しを添付) | 役員の就任、退任、再任等の後、遅滞なく |
おわりに
行政書士しょうじ事務所では、株式会社、合同会社、NPO法人、一般社団法人などの法人設立の手続きをお手伝いさせていただいております。電子定款認証システムにも対応しております。
法人設立に関してお困りごとがありましたら、ぜひご相談ください。