相続|死後認知を受けた子は遺産を相続できる?

婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子を嫡出子(ちゃくしゅつし)と言うのに対して、婚姻関係にない男女間(事実婚の夫婦も含む)に生まれた子を非嫡出子といいます。非嫡出子は、父と法律上の親子関係がないため、扶養や相続の面で父から何の保護も受けることができません。

しかし、非嫡出子であっても、認知の訴えを提起して「死後認知」を受けることで、相続権を獲得して相続することができ、戸籍には父親の名前が記載されることになります。死後認知を求めるメリットは、非嫡出子が相続権を得られることです。死後認知の効力発生が遺産分割の完了後でも、金銭による支払いを他の相続人に求めることができるようになります。

認知には任意認知(民法779条)と、裁判認知(民法798条)があります。任意認知は、父が自分の意思で認知することです。父自身が役所に認知届を提出することで認知の効力が生じます。一方、裁判認知は、父が自発的に認知をしない場合や、父が死亡している場合に非嫡出子側が父に対して認知を求めるものです。後者の場合の認知を死後認知といい、父の死亡から3年以内に、亡くなっている父の代わりに検察官を被告として、死後認知の訴えを提起します。

参考記事:婚外子を認知したときの戸籍

死後認知の効力

死後認知の訴えを提起して、認知の判決が確定することにより認知の効力が生じます。認知の効力には遡及効があるので、非嫡出子の出生時にさかのぼって父と子に法律上の親子関係が生じ、非嫡出子は父の相続人となることができます。

認知の訴えの判決確定によって死後認知の効力が発生した場合、非嫡出子は父との間に法律上の親子関係が認められ、父の相続権を獲得し、父の遺産を相続することができます。しかし、遺産分割協議がどの段階にあるかで相続権の行使方法が変わってきます。

認知の時点で遺産分割が完了していない場合

認知の時点で遺産分割がまだ完了していない場合、死後認知によって相続権を得た非嫡出子は遺産分割協議に参加することができます。ただし、非嫡出子が未成年者の場合は、母が法定代理人として遺産分割協議に参加することになります。

仮に、非嫡出子を除いて他の共同相続人たちのみで遺産分割協議が行われた場合、その遺産分割協議は無効となります。遺産分割協議は共同相続人全員の意思の合致が必要とされるため、非嫡出側は遺産分割協議の無効を主張し、やり直しを求めることができます。

認知の時点で遺産分割が完了していた場合

認知の時点で遺産分割が完了している場合、非嫡出子は遺産分割の無効を主張して、遺産分割のやり直しを求めることはできません。この場合には、非嫡出子は自分の法定相続分に応じた金銭の支払いを他の共同相続人に求めることのみできるとされおり(民法910条)、これにより利害調整を図るものとされています。

非嫡出子が他の共同相続人に対して請求できる支払い金額は、「請求金額=請求時の遺産総額x法定相続分」によって算出します。不動産などの価値が変動する遺産の評価額は、非嫡出子が他の相続人に金銭の支払いを請求した時点の価格が基準となります。