ビザ・在留資格|技能
在留資格「技能」は、日本の経済社会や産業の発展に寄与するとの観点から、日本人で代替できない産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を有する外国人を受け入れるために設けられた在留資格です。
該当例としては、インド料理や中華料理などの外国料理の料理人、スポーツ指導者、航空機の操縦者、ワインソムリエなどが該当します。
「技能」に該当する活動
在留資格「技能」に該当する活動は、次のように定められています。
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動
本邦の公私の機関との契約
日本国内の企業等に直接雇われて給与の支払いを受けることが必要です。レストランは法人化されていない個人事業の形態で営まれていることもありますが、これも「本邦の公私の機関」に該当します。
熟練した技能を要する
経験を積んできたことによって熟練の域にある技能であることが必要です。特別な技能や判断等を必要としない、機械的な作業である単純労働は該当しません。
「技能」の基準適合性
「技能」の在留資格を取得するためには、上陸基準省令「法別表第一の二の表の技能の項の下欄に掲げる活動」に定められている第1号~第9号までのいずれかの基準に適合し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上であることが必要です。
第1号の基準
第1号は、調理師についての基準です。
料理の調理又は食品の製造に係る技能で外国において考案され我が国において特殊なものを要する業務に従事する者で、次のいずれかに該当するもの(第九号に掲げる者を除く。)
イ 当該技能について十年以上の実務経験(外国の教育機関において当該料理の調理又は食品の製造に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者
ロ 経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定附属書七第一部A第五節1(c)の規定の適用を受ける者
外国において考案され
中国料理、フランス料理、インド料理等の調理師や、点心、パン、デザート等の食品を製造する調理師やパティシエなどが該当します。外国で考案されたものではない「和食」の調理だと、「技能」の在留資格は許可されないということになります。
10年以上の実務経験
外国の教育機関で料理の調理や食品の製造に係る科目を専攻して教育を受けていた期間も含まれます。実際に業務に従事していた期間は、過去の勤務先から在職証明書を発行してもらい、立証する必要があります。
経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定附属書七第一部A第五節1(c)の規定の適用を受ける者
次の要件を満たすタイ人調理師は、日タイEPAの適用を受けることができ、実務経験年数が短縮されます。
- タイ料理人として5年以上の実務経験を有すること(タイ労働省が発行するタイ料理人としての技能水準に関する証明書を取得するための要件を満たすために教育機関において教育を受けた期間を含む)
- 初級以上のタイ料理人としての技能水準に関する証明書を取得していること
- 申請直前の1年間に、タイにおいてタイ料理人として妥当な報酬を受けていたこと
第2号の基準
第2号は、建築技術者についての基準です。
外国に特有の建築又は土木に係る技能について十年(当該技能を要する業務に十年以上の実務経験を有する外国人の指揮監督を受けて従事する者の場合にあっては、五年)以上の実務経験(外国の教育機関において当該建築又は土木に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの
外国に特有の建築又は土木
たとえば、ゴシック、ロマネスク、バロック方式または中国式、韓国式などの建築・土木に関する技能で、日本にはない建築・土木に関する技能のことをいいます。枠組壁工法や輸入石材による直接貼り付け工法なども含まれます。
第3号の基準
第3号は、外国特有製品の製造・修理に携わる技能者の基準です。
外国に特有の製品の製造又は修理に係る技能について十年以上の実務経験(外国の教育機関において当該製品の製造又は修理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの
外国に特有の製品の製造又は修理に係る技能
ヨーロッパ特有のガラス製品、ペルシア絨毯など、日本にはない製品の製造または修理に係る技能のことをいいます。
第4号の基準
第4号は、宝石・貴金属・毛皮加工に携わる技能者の基準です。
宝石、貴金属又は毛皮の加工に係る技能について十年以上の実務経験(外国の教育機関において当該加工に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの
宝石、貴金属又は毛皮の加工に係る技能
宝石と毛皮については、宝石や毛皮を用いて製品を作る過程のみならず、原石や動物から宝石や毛皮を作る課程も含まれます。
第5号の基準
第5号は、動物の調教に携わる技能者の基準です。
動物の調教に係る技能について十年以上の実務経験(外国の教育機関において動物の調教に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの
第6号の基準
第6号は、石油・地熱等掘削調査に携わる技能者の基準です。
石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削又は海底鉱物探査のための海底地質調査に係る技能について十年以上の実務経験(外国の教育機関において石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削又は海底鉱物探査のための海底地質調査に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの
地熱開発のための掘削
地熱開発のための掘削とは、生産井(地熱発電に使用する蒸気を誘導するために掘削された井戸)及び還元井(発電に使用した蒸気及び熱水を地下に戻すために掘削された井戸)を掘削する作業のことをいいます。
第7号の基準
第7号は、航空機操縦士についての基準です。
航空機の操縦に係る技能について二百五十時間以上の飛行経歴を有する者で、航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第二条第十八項に規定する航空運送事業の用に供する航空機に乗り組んで操縦者としての業務に従事するもの
航空運送事業
航空運送事業とは、他人の需要に応じ、航空機を使用して有償で旅客または貨物を運送する事業のことをいいます。
操縦者としての業務に従事する
操縦者として業務に従事するとは、定期運送用操縦士、事業用操縦士または準定期運送用操縦士のいずれかの技能証明を有し、機長または副操縦士として業務に従事するものをいいます。航空機関士としての業務は「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当します。
第8号の基準
第8号は、スポーツ指導者についての基準です。
スポーツの指導に係る技能について三年以上の実務経験(外国の教育機関において当該スポーツの指導に係る科目を専攻した期間及び報酬を受けて当該スポーツに従事していた期間を含む。)を有する者若しくはこれに準ずる者として法務大臣が告示をもって定める者で、当該技能を要する業務に従事するもの又はスポーツの選手としてオリンピック大会、世界選手権大会その他の国際的な競技会に出場したことがある者で、当該スポーツの指導に係る技能を要する業務に従事するもの
報酬を受けて当該スポーツに従事していた
プロスポーツの競技団体に所属し、プロスポーツ選手として報酬(賞金を含む)を受けていた者が該当します。
プロスポーツの監督、コーチ等の在留資格
野球、サッカーなどチームで必要とするプロスポーツの監督、コーチ等でチームと一体して出場し、プロスポーツの選手に随伴して入国し、在留する活動については「興行」の在留資格に該当します。
気功の取扱い
気功には、肉体的鍛錬を目的とするものと、患部の治療に当たる「気功治療」の2種類があると言われています。このうちの肉体的鍛錬としての気功運動は、スポーツ指導に係る「技能」の在留資格に該当しますが、病気治療としての「気功治療」は、スポーツの指導には当たりません。
第9号の基準
第9号は、ワイン鑑定等に従事する技能者についての基準です。
ぶどう酒の品質の鑑定、評価及び保持並びにぶどう酒の提供(以下「ワイン鑑定等」という。)に係る技能について五年以上の実務経験(外国の教育機関においてワイン鑑定等に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する次のいずれかに該当する者で、当該技能を要する業務に従事するもの
イ ワイン鑑定等に係る技能に関する国際的な規模で開催される競技会(以下「国際ソムリエコンクール」という。)において優秀な成績を収めたことがある者
ロ 国際ソムリエコンクール(出場者が一国につき一名に制限されているものに限る。)に出場したことがある者
ハ ワイン鑑定等に係る技能に関して国(外国を含む。)若しくは地方公共団体(外国の地方公共団体を含む。)又はこれらに準ずる公私の機関が認定する資格で法務大臣が告示をもって定めるものを有する者
優秀な成績を収めたことがある者
国際ソムリエコンクールにおいて、入賞以上の賞を獲得した者とされています。
「技能」で在留中に必要な届出
「技能」で在留中、次のような届出を行なう必要があります。
申請・届出の種類 | 期間 | 届出・申請先 |
---|---|---|
住居地の届出 | 住居地を定めた日から14日以内 | 市区町村 |
住居地変更の届出 | 新住居地に移転した日から14日以内 | 市区町村 |
居住地以外の在留カード記載事項変更届出 (氏名、生年月日、性別又は国籍・地域の変更) | 変更を生じた日から14日以内 | 地方出入国在留管理官署 |
在留カードの有効期間の更新申請 | 有効期間が満了する日まで | 地方出入国在留管理官署 |
紛失、毀損、汚損による再交付申請、交換を希望する場合の再交付申請 | 再交付命令があった場合は、命令を受けた日から14日以内 | 地方出入国在留管理官署 |
所属機関に関する届出 (名称変更、所在地変更、消滅、活動機関からの離脱や移籍等) | 当該事由が生じた日から14日以内 | 地方出入国在留管理官署 |
おわりに
行政書士しょうじ事務所では、外国人の方が日本に入国、在留するために必要な各種の査証(ビザ)・在留資格取得(新規/更新)のためのサポートをおこなっております。
査証・在留資格の取得手続きについてお困りごとがありましたら、ぜひご相談ください。