法人設立|NPO法人の概要
NPOとは、ボランティア活動などの社会貢献活動を行なう、営利を目的としない団体です。NPOのうち、特定非営利活動促進法(NPO法)に基づき法人格を取得した「特定非営利活動法人」のことを一般に「NPO法人」といいます。
「営利を目的としない」といっても、利益を上げてはいけないという意味ではありません。活動によって得られた利益は、構成員に分配することはできませんが、団体の活動目的を達成するための費用に充てたり、構成員の労働に対する給与や役員報酬などの支払いに充てることができます。
NPO法人のメリット
NPO法人には、次のようなメリットがあります。
社会的信用が高まる
法人格の取得により、団体名義での契約締結や土地の登記など、団体が「権利能力の主体」となり、団体自身の名義において権利義務関係を処理することができます。
設立時の費用負担が少ない
NPO法人の場合、株式会社や一般社団法人などの法人設立で必要になる定款認証手数料や登録免許税などの法定費用がかかりません。
税制上のメリットがある
毎年の税金の減免申請を行なえば、収益事業以外の事業には法人税がかからないので、株式会社等の通常の会社法人と比べて、より大きな節税が可能です。
「認定NPO法人」になると、さらに税制上の優遇措置があります。
認定NPO法人とは
認定NPO 法人とは、NPO 法人のうち、その運営組織及び事業活動が適正であって、公益の増進に資するものにつき一定の基準(パブリック・サポート・テストを含む)に適合したものとして、所轄庁の認定を受けたNPO 法人をいいます。
NPO法人のデメリット
NPO法人のデメリットとしては、次のようなものがあります。
設立までに時間がかかる
一般社団法人等の法人と比較して、提出書類が多く、また申請後約2週間の縦覧期間+約2ヶ月の審査期間があるため、設立までに少なくとも4~5ヶ月ほどかかります。
また、申請書類に不備などがあった場合、補正後にまた縦覧期間が必要となるため、スケジュールの管理と正確な書類作成等が求められます。
情報開示義務や事務手続きの煩雑化
公益性の観点から、事業報告書・収支計算書などのさまざまな書類を事務所や所轄庁に据え置き、一般市民の誰もが閲覧できるようにする必要があることや、毎年提出(報告)する義務も課せられています。
また、役員や定款を変更した場合なども、所轄庁への届出が必要になり、任意団体のときと比べて書類作成の事務量が増えることになります。
非営利型一般社団法人との違い
以前は、非営利活動や公益活動を行なう場合、NPO法人という法人形態しかほぼ選択肢がありませんでしたが、2008年12月に施行された「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」により、非営利型の一般社団法人が比較的設立しやすくなりました。
非営利型一般社団法人と比較した場合、下表に示したように、NPO法人のメリットがそれほど大きくなくなってきたのが現状です。
NPO法人 | 非営利型一般社団法人 | |
---|---|---|
目的 | 特定非営利活動(20分野) | 制約無し(公益・共益・収益事業も可) |
設立方法 | 所轄庁の認証後に登記して設立 | 公証役場での定款認証後に登記して設立(準則主義) |
設立に必要な人数 | 社員10人以上 | 社員2人以上 |
役員 | 理事3人以上 監事1人以上 | 理事3人以上 |
任期 | 理事2年 監事4年 | 理事2年 (監事4年) |
役員の親族規定 | あり | あり |
設立期間 | 4~5ヶ月ほど | 1~2週間ほど |
法定費用 | 不要 | ・定款認証の手数料5万円(電子認証の場合) ・登録免許税6万円 ※紙による定款認証の場合、別途4万円の収入印紙代が必要 |
法人税 | 法定の収益事業についてのみ課税 | 法定の収益事業についてのみ課税 |
法人住民税 | 一定の要件を満たせば免除 | 課税 |
所轄庁報告義務 | あり | 非課税の場合は財務諸表を提出 |
作成義務のある主な書類 | ・事業報告書 ・活動計算書 ・貸借対照表 ・財産目録 ・年間役員名簿 ・前事業年度の末日における社員のうち10人以上の者の氏名等を記載した書面 ・最新の役員名簿(備置き) ・定款等(備置き) | ・定款 ・事業報告書 ・損益計算書 ・貸借対照表 ・付随明細書 |
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おわりに
行政書士しょうじ事務所では、株式会社、合同会社、NPO法人、一般社団法人などの法人設立の手続きをお手伝いさせていただいております。電子定款認証システムにも対応しております。
法人設立に関してお困りごとがありましたら、ぜひご相談ください。