遺言書|遺言が無効になるケース

どのような場合に遺言が無効になってしまうのかをお伝えしていきます。

主に次のような場合に、遺言は無効になります。

民法の定める方式に従っていない遺言書

遺言の方式は民法第967条以降に厳格に定められており、この民法の定める方式に従っていない遺言は無効となります。

たとえば、自筆証書遺言の場合は、遺言者がその全文、日付および氏名を自書し、これに印を押さなければならない、とされています(民法第968条1項)。したがって、自書ではなくパソコンで本文を作成していたり、作成日を「令和5年2月」「令和5年2月吉日」など日にちを特定できない書き方をしたり、押印がなかったりすると、民法の方式に従っていない遺言書となり無効となります。

また、公正証書遺言の場合は、2人以上の証人の立ち会いのもと公証人が作成しますが(民法第969条1号)、証人の人数が不足していたり、証人として不適格な人物が立ち会ったりした場合には、方式違反により無効となります。

真正に作成されたものではない遺言書

遺言者本人の意思に基づいて作成された遺言書でなければ無効です。

他人が作成した自筆証書遺言や、遺言者になりすまして公正証書遺言の作成を嘱託した場合など、遺言書の真正を欠く場合には遺言は無効となります。

なお、相続人が被相続人の遺言書を偽造した場合、偽造した相続人は相続欠格に該当し、相続権を失います(民法第891条5号)。

遺言能力がない者が作成した遺言書

遺言能力がない者が作成した遺言書は無効です。遺言能力とは、遺言の内容を理解し、遺言の結果を弁識しうるに足る判断能力のことをいいます。

遺言者が認知症のような遺言能力を欠くと思われる場合には、遺言書の有効性を巡って争いが生じることがあります。ただし、認知症だからといって直ちに遺言能力がないと判断されるわけではありません。認知症の症状の程度はさまざまなので、遺言者の生活状況や遺言書の内容などを踏まえて個別具体的に遺言能力は判断されることになります。その結果、遺言能力が否定された場合には、遺言は無効となります。

公序良俗に違反する内容の遺言書

民法第90条は、「公の秩序又は善良の風俗に反する行為は、無効とする」と定めています。これを「公序良俗」といい、遺言も法律行為の一種であるため、民法第90条の適用があります。

たとえば、配偶者のある者が不倫関係にある相手に全財産を遺贈するような内容の遺言をした場合、その遺贈が、不倫関係の維持継続を目的としたもので、相続人の生活基盤を脅かすようなことになれば、公序良俗違反として無効になる場合があります。

詐欺・脅迫により作成された遺言書

遺言は法律行為の一種なので、法律行為に関する一般原則に従い、詐欺や脅迫によってなされた遺言は取り消すことができ(民法第96条)、遺言を取り消すことによって遺言は無効になります。

なお、相続人が詐欺や脅迫によって遺言書を作成させたりした場合、この相続人は相続欠格に該当し、相続権を失います(民法第891条3号・4号)。

自宅で見つけた遺言書を勝手に開封したら無効になる?

開封しても遺言は無効にはなりません。ただし、家庭裁判所の検認前に開封した場合、5万円以下の過料(行政罰)に処せられることがあります。

全財産を1人に取得させる遺言は無効?

全財産を1人に取得させる遺言書でも無効ではありません。ただし、遺留分侵害額請求ができる場合があります。

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せっかく残した遺言が無効になってしまうことのないように、遺言のルールをよく理解した上で遺言書を作成する必要があります。

行政書士しょうじ事務所では、自筆証書遺言と公正証書遺言を作成するためのお手伝いをさせていただいております。遺言書の作成についてお困りごとがありましたら、ぜひご相談ください。