建設業|経営事項審査

公共工事を受注したい場合には、「経営事項審査」を受審し、結果通知書を得た上で、「公共工事入札参加資格登録申請」をする必要があります。

公共工事を発注者から直接請け負うとする建設業者は、その経営に関する客観的事項について審査を受けなければなりません。

公共工事の各発注機関は、競争入札に参加しようとする建設業者についての資格審査を行うこととされており、欠格要件に該当しないかどうかを審査したうえで、客観的事項と主観的事項の審査結果を点数化し、順位付け、格付けをしています。

このうちの客観的事項の審査が「経営事項審査」といわれる審査制度で、次に掲げる事項について、数値による評価をしています。

  • 経営状況
  • 経営規模等

「経営規模等」とは、「経営状況」以外の客観的事項のことで、具体的には「経営規模」「技術的能力」「社会性等」から構成されています。

経営事項審査は、「経営状況」と「経営規模等」それぞれを受審することが必要です。「経営状況」については国土交通大臣が登録した経営状況分析機関に対して、「経営規模等」は許可行政庁に対して、それぞれ申請書等の必要書類を提出して行います。

公共性のある施設または工作物に関する建設工事

経営事項審査の受審が必要となる公共工事とは、政令で定める建設工事で、国、地方公共団体、法人税法別表第一に掲げる公共法人(地方公共団体を除く)又はこれらに準ずるものとして国土交通省令で定める法人が発注者であり、かつ、工事一件の請負代金の額が500万円(建築一式工事の場合は1,500万円)以上のものであって、次に掲げる建設工事以外のものが該当します。

  • 堤防の欠壊、道路の埋没、電気設備の故障その他施設又は工作物の破壊、埋没等で、これを放置するときは、著しい被害を生ずるおそれのあるものによって必要を生じた応急の建設工事
  • 上記に掲げるもののほか、経営事項審査を受けていない建設業者が発注者から直接請け負うことについて緊急の必要その他やむを得ない事情があるものとして国土交通大臣が指定する建設工事

審査基準日

経営事項審査では、原則として申請をする日の直前の事業年度終了日(直前の決算日)が審査基準日となります。審査基準日は直前の事業年度の終了日であるため、申請時に既に新しい審査基準日を迎えている場合、従前の審査基準日では審査を受けることはできません。

有効期間

経営事項審査の有効期間は、結果通知書を受領した後、その経営事項審査の審査基準日から1年7ヶ月の間です。この「1年7ヶ月」の期間は、審査基準日から起算されるものであり、結果通知書を受け取ってからの期間ではありません。

公共工事の受注には、契約締結日の1年7ヶ月前以降の決算日を基準日とする経営事項審査を受け、その結果通知書の交付を受けていることが必要です。これは、公共工事発注者の入札参加資格の有無とは関係なく、公共工事の受注そのものに対し義務付けられるものです。

したがって、毎年公共工事を直接請け負おうとする場合は、有効期間が切れ目なく継続するよう、毎年決算後速やかに経営事項審査を受けることが必要です。

経営状況分析は、国土交通大臣の登録を受けた「登録経営状況分析機関」というところが行ないます。

経営状況分析に必要な事実を証する書類を申請書に添付して、この登録経営状況分析機関に提出します。経営状況分析が行なわれたのち、その結果となる数値が通知書によって申請者に通知されます。

経営規模等の客観的事項の評価は、経営規模等評価に必要な事実を証する書類を添付した申請書を、建設業の許可をした国土交通大臣または都道府県知事に提出することによって行なわれます。

経営規模等評価が行なわれたのち、その結果となる数値が通知書によって申請者に通知されます。結果に異議がある場合は、審査の結果の通知を受けた日から30日以内に再審査を申し立てることができます。

国土交通大臣または都道府県知事は、経営規模等評価の申請をした建設業者から請求があったときは、総合評定値を通知書によって通知しなければなりません。

総合評定値とは、経営状況分析の結果の数値と経営規模等評価の結果の数値を用いて算出した客観的事項の全体についての総合的な評定の結果にかかる数値です。

総合評定値の算出

総合評定値は、次の式で算出します。

総合評定値P=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W

式の中で使われている各記号は、次のことを意味しています。

P総合評定値
経営規模等評価の結果に係る数値のうち、完成工事高に係るもの
経営規模等評価の結果に係る数値のうち、自己資本額および利益額に係るもの
経営状況分析の結果に係る数値
経営規模等評価の結果に係る数値のうち、技術職員数および元請完成工事高に係るもの
経営規模等評価の結果に係る数値のうち、X、X、Y,Z以外に係るもの

行政書士しょうじ事務所では、建設業許可申請のお手伝いをさせていただいております。建設業の許可取得に関してお困りごとがありましたら、是非ご相談ください。